McWilliam VL, et al. Self-reported adverse food reactions and anaphylaxis in the SchoolNuts study: A population-based study of adolescents. Journal of Allergy and Clinical Immunology 2017. [Epub ahead of print]
思春期の時期の、食物アレルギーによる有害事象が起こりやすいリスク因子はなにか?
■ 食物アレルギーの誤食に対するリスクに注目されています。
食物アレルギーによるアナフィラキシーの発生頻度: システマティックレビュー&メタアナリシス
食物アレルギーによる致命的なアナフィラキシーの発生率: システマティックレビュー&メタアナリシス
■ では、そのリスク因子にはどのようなものがあるのでしょうか?
オーストラリアのメルボルンで参加した中央値11.9歳の食物アレルギー児において、食物アレルギーの有害事象がおこるリスク因子を検討した。
背景
■ 思春期はアナフィラキシーによる死亡のリスクが最も高い。しかし、この群における偶発的なアレルゲン摂取によって引き起こされるアレルギー反応の頻度やリスク要因についての、集団ベースの報告は不十分である。
方法
■ オーストラリアのメルボルンにおいて、層別化し無作為された、集団ベースの学校におけるサンプル(SchoolNuts、n = 9663; 回収率48%)から、最近の食物による最近の有害事象から、有病率、頻度、リスク因子が検討された。
論文から引用。SchoolNuts研究に参加した参加者の特徴。
■ 過去1年間の学生からのアンケートを使用し、自己報告された食物アレルギーおよびアナフィラキシーを含む有害事象の詳細を特定した。
結果
■ IgE依存性食物アレルギーの可能性のある547人のうち、243人(44.4%; 95%CI、40.3%〜48.7%)が食物に対する反応を報告し、53名(9.7%; 95%CI、7.2%〜12.2%)の学生が93件のアナフィラキシー症状を報告した。
■ ピーナッツとナッツが最も一般的な原因となる食物だった。
■ 現在のIgE依存性食物アレルギーのある学生のうち、寛解した喘息もしくは現在の喘息(調整オッズ比[aOR] 1.9 [95%CI、1.1-1.3]もしくは1.7 [95%CI 1.1-2.6]、また、食物アレルギーが2種類以上ある場合(aOR 1.9 [95%CI 1.1-3.1])はなんらかの食物による有害事象の最も大きなリスクであった。
論文から引用。寛解した喘息もしくは現在の喘息、食物アレルギーが2種類以上ある場合に有意に有害事象が起こるリスクが高かった。
■ また、ナッツアレルギーの患者は、重症の反応を来すリスクが最も高かった (aOR, 2.9 [95% CI, 1.1-4.4])。
結論
■ 思春期の食物アレルギーは、しばしば食物アレルゲンに暴露される。
■ 喘息および2種類以上の食物アレルギーのある者は、食物に対する有害事象の起こるリスクが最も高かった。
■ また、ナッツアレルギーの患者は、重篤な有害事象のリスクに最もさらされていた。
結局、何がわかった?
✅食物に対する有害事象が起こるリスクは、寛解した喘息で1.9倍、現在の喘息で1.7倍、食物アレルギーが2種類以上ある場合に1.9倍起こりやすかった。
✅食物に対する重篤な有害事象が起こるリスクは、ナッツアレルギーで。2.9倍高かった。
喘息、多種類の食物アレルギー、ナッツアレルギーが食物による有害事象が起こりやすいリスク因子。
■ 今回の検討では、食物アレルギーの有害事象に対するリスク因子として、気管支喘息・2種類以上の食物アレルギーが特定され、重篤な食物アレルギーの有害事象に対するリスク因子として、ナッツアレルギーが同定されました。
今日のまとめ!
✅気管支喘息の既往もしくは現在の気管支喘息、多種類の食物アレルギー、ナッツアレルギーが、食物アレルギーの有害事象のリスクと考えられた。