乳児へのインフルエンザワクチンは有効か?

2歳未満へのインフルエンザワクチンは、どれくらい有効かを大規模ランダム化比較試験で検討した報告をご紹介します。

■ 最近、インフルエンザワクチンの有効性は、診断陰性例デザイン(Test negative control design)という方法で測定されることが多くなりました。

インフルエンザワクチンは、子どもの入院率を減らすか?

■ しかし、できればランダム化比較試験があれば、より明らかに出来ますし、また低年齢のインフルエンザワクチンの効果がわかれば、より有用でしょう。

■ そんな我々の疑問に答えてくれる研究結果が発表されました。

 

Rolfes MA, et al. Efficacy of trivalent influenza vaccine against laboratory-confirmed influenza among young children in a randomized trial in Bangladesh. Vaccine 2017; 35:6967-76.

バングラデシュの6~23ヶ月の子ども達4081人が、インフルエンザワクチンと不活化ポリオワクチンにランダム化され、有効性を評価された。

背景

■ 特にインフルエンザの合併症の影響を受けやすい幼児に対するインフルエンザワクチンの有効性(vaccine efficacy ;VE)を評価した試験はほとんどない。

■ そこで、バングラデシュで2歳未満の小児におけるインフルエンザのVEを推定することを目的として検討した。バングラデシュは、インフルエンザの流行が不規則である場合がある亜熱帯環境である。

 

方法

6〜23ヶ月齢の小児が、不活化3価インフルエンザワクチン(IIV3) vs 不活性化ポリオワクチン(IPV)それぞれによる、二重盲検ランダム化化比較並行群間試験により1:1で登録された。

■ 2010年8月〜2014年3月にバングラデシュのダッカにおいて実施された。

■ 参加者はは、ワクチン接種を2回受け、熱性疾患/呼吸器疾患を1年間フォローされた。

■ 毎週1回の家庭ベースの積極的なサーベイランスを実施し、病気の子どもたちを、臨床評価と鼻咽頭洗浄標本収集のために治験診療所に紹介した。

■ 分析には、最初のワクチン接種を受けたすべての小児が含まれ、試験期間中に逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)で確認されたインフルエンザの年間発生率を比較した。

■ VEは、調整されていないポアソン回帰を用いて、1 - (病気の割合)×100%と推定された。

■ 臨床試験はClinicalTrials.gov番号NCT01319955に登録されている。

 

結果

4回のワクチン接種シーズンに、4081人の子どもが登録され、ランダム化された。

■ IIV3群には2576人が、IPV群には2593人が振り分けられた。

■ インフルエンザの発症率は、IIV3群では1年間に100児あたり10回 、IPV群では1年100児あたり15回だった。

■ 全体として、ワクチン有効性(VE)は、RT-PCRで確認されたインフルエンザに対して31%(95%信頼区間18-42%)だった。

■ VEは季節によって異なるものの、インフルエンザのタイプ/サブタイプおよび参加者の年齢および性別によって同程度だった。

 

結論

幼児に対する不活化3価インフルエンザワクチン(IIV3)接種は、検査で確認されたインフルエンザ感染を有意に減少させた。

■ しかしながら、アジュバント添加ワクチンや標準的な成人ワクチン用量のような、更なるインフルエンザワクチン戦略の調査は、低所得国の幼児のに対するより効果的なインフルエンザワクチンを見つけるために正当化される。

 

結局、何がわかった?

 ✅生後6~23ヶ月児に対するインフルエンザワクチンの有効性は、31%(95%信頼区間18-42%)と推定された。

 

 

低年齢であっても、インフルエンザワクチンの効果はあると言えそうです。

■ 低年齢に対するインフルエンザワクチンの有効性は、年長児に比較して低くなることが多いですが、今回の検討では、有効性があると推定されました。

■ 一般に、最近のインフルエンザワクチンの有効性は診断陰性例デザイン(Test negative control design)という方法で簡易的に測定されることが多くなりましたが、今回はランダム化比較試験であることが重要と考えます。

 

 

今日のまとめ!

 ✅2歳未満であっても、インフルエンザワクチンの有意な効果はある。ただし、30%程度であり、限定的とも言えるかもしれない。

 

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