2017-2018年シーズンにおける米国小児科学会のインフルエンザ診療に対するUPDATE

2017-2018年シーズンのインフルエンザ診療に対するAAP(米国小児科学会)のUPDATEをご紹介します。

■ 本当はもう少し早くお届けするつもりだったのですが、失念していました。

■ Twitterで卵アレルギー児に対するインフルエンザワクチンのUPDATEの紹介(Greenhawt M, Annals of Allergy, Asthma & Immunology 2018; 120:49-52.)を見かけました。どうやら大きな潮流がでてきたようです。そこで、先にPediatricsのUPDATEをご紹介することにします。

卵アレルギー児に対し、All children with an egg allergy of any severity can receive an influenza vaccine without any additional precautions beyond those recommended for any vaccine(重症卵アレルギーのある全ての小児に対し、全てのワクチンに対して推奨されている予防措置以外の追加処置なくインフルエンザワクチンを接種できる。)としているのは必見

■ 全文フリーで閲覧可能です。

 

Diseases CoI. Recommendations for Prevention and Control of Influenza in Children, 2017–2018. Pediatrics 2017:e20172550.

2017-2018年シーズンの米国におけるインフルエンザ診療UPDATE。

■ この声明では、小児に対する季節性インフルエンザワクチンの日常的な使用と、インフルエンザ予防および治療のための抗ウイルス薬に関する推奨事項を更新する。

■ AAP(American Academy of Pediatrics;米国小児科学会)は、小児および青年を含む6ヵ月以上の全員が、毎年季節性インフルエンザワクチンを接種することを推奨する。

来る2017-2018年シーズンのハイライトは以下の通り。

 

1) 1年ごとの全般的なインフルエンザに対する免疫は、3価または4価不活性化ワクチンのいずれかで実施される

2) 2017-2018インフルエンザA(H1N1)ワクチン株は、2016-2017年の季節性ワクチンに含まれる株とは異なる。3価および4価ワクチンに含まれる2017-2018年インフルエンザA(H3N2)ワクチン株およびB型インフルエンザワクチン株は、2016-2017年の季節性ワクチンに含まれるワクチン株と同じである。

a) 3価ワクチンは、A /ミシガン/ 45/2015(H1N1)pdm09ウイルス、A /香港/ 4801/2014(H3N2)ウイルス、およびB /ブリスベン/ 60/2008ウイルス(B /ビクトリア)である。
b) 4価ワクチンは追加のB型ウイルス(B / Phuket / 3073/2013型ウイルス [B / 山形])を含む。

3) 2017-2018年のインフルエンザシーズン中は、米国におけるどんなセッティングでも、4価生弱毒化インフルエンザワクチン(LAIV4)は推奨されていない。この臨時の勧告(最初は2016年に作成)は、最近のインフルエンザ・シーズンにおいてLAIV4がにインフルエンザA型(H1N1)pdm09ウイルスに対して十分に効果を示さなかったことを明らかにした米国Influenza Vaccine Effectiveness Networkによる観察的なデータに基づく。

4) 重症卵アレルギーのある全ての小児に対し、全てのワクチンに対して推奨されている予防措置以外の追加処置なくインフルエンザワクチンを接種できる

5) 医療従事者はしばしばインフルエンザ関連の合併症のリスクが高い患者をケアするため、すべての医療従事者はインフルエンザの予防に重要な季節性インフルエンザワクチンを毎年受けなければならない。

6) 小児科医は、インフルエンザ感染が疑われる小児を早期に発見し、罹患率と死亡率を低下させるために抗ウイルス治療を適時に開始するようにするべきである。症状が発現してから48時間以内に治療を受けた場合、最良の結果が認められる。

 

結局、何がわかった?

 ✅2017-2018年シーズンの米国小児科学会におけるUPDATEで、重症卵アレルギーのある全ての小児に対し、全てのワクチンに対して推奨されている予防措置以外の追加処置なくインフルエンザワクチンを接種できるとされた。

 

 

本邦での卵アレルギー児に対するインフルエンザワクチンのUPDATEを期待したいです。

■ たとえば、以前は普通に行われていた、抗生剤使用前の皮膚検査は、現在はほとんど行われていません。一方で、万が一の対応は、各医師が実施可能となっているはずです。

■ 私の勤務施設の周辺では、卵アレルギーがあるから、もしくはある程度卵が摂取できていても「生卵が食べられないと当院ではインフルエンザワクチンは接種できません(1歳なのに、、)」と言ったプラクティスが未だ見受けられます。

■ 一方で、(予防接種関連ではないですけど)明らかなアナフラキシーなのに、「当院ではみれませんのですぐ大きな病院に行ってください」と、何も治療されずにご紹介を受けることがあります。予防接種を実施する医療機関では、アナフィラキシーに対する応急処置を実施できる必要性があります。インフルエンザワクチンにおけるアナフィラキシーは、卵アレルギーは関係なく起こりえます。

インフルエンザワクチンによるアナフィラキシーの原因: 症例対照研究

■ 上記のようなプラクティスを行っている医療機関はわずかと思います。わたしが述べるまでもなく、予防接種は小児科医にとってきちんとプロモートすべき重要な医療行為です。日本でもこのようなプラクティスが普及すればなあと思いますし、万が一の対応としてアナフィラキシーを治療できるスキルは必要だと思っています。

 

 

今日のまとめ!

 ✅2017-2018年シーズンにおける米国におけるインフルエンザ予防・治療のUPDATEでは、特に卵アレルギー児に対する予防接種がトピックである。

 

Instagram:2ヶ月で10000フォロワーを超えました!!!

Xでフォローしよう