Matsui T, et al. Sun exposure inversely related to food sensitization during infancy. Pediatric Allergy and Immunology 2015; 26:628-33.
出生季節でアレルギー発症率が変わる?
■ 秋出生にアトピー性皮膚炎が多いという報告は、滋賀県立小児保健医療センターの楠先生の報告が有名です(Kusunoki T, et al. Journal of allergy and clinical immunology 1999; 103:1148-52.)。その後、その検討結果を覆すような報告は少なく、ほぼ確定したといえましょう。
■ 今回はその流れで、あいち小児保健医療総合センターからの、秋冬出生が食物感作のリスクではないかという報告です。
2001年11月から2012年10月まで、単一施設に受診した生後6ヶ月未満の乳児732人のIgE抗体価と出生季節の関連を検討した。
背景
■ 秋冬の出生(AWB)は食物アレルギー発症の危険因子であると報告されている。しかし、乳幼児期初期における季節要因とアレルギー感作との関連は不明である。
方法
■ 2001年11月から2012年10月までの、生後6ヶ月未満の乳児の総IgE値 (tIgE)および特異的IgE抗体価 (sIgE)について732人の患者からのデータを、臨床データベースシステムから収集し、誕生月と各パラメータとの関係を解析した。
■ さらに、感作された患者数と毎月の気候学的パラメータの相関関係を特定した。
結果
■ AWB群 482人から得られたtIgEサンプル数は、春および夏(SSB、225人)で生まれた児の2.1倍だった。
■ 卵白、牛乳、小麦sIgEサンプル数、感作率およびsIgEの中央値もすべてAWB群で高かった。
■ さらに、これらのアレルゲンに感作されたAWB群の数は、卵で 2.75 倍、牛乳で 3.05 倍、小麦で 3.97 倍高かった。
■ 感作された患者数の定期的な変化は、毎年観察された(10月〜11月で最も高く、5月で最も低かった)。
■ 調査した気象学的パラメータのうち、出生後3ヶ月間の平均日射量は、感作患された患者数と最も負の相関を示した(卵白:r = -0.976、牛乳:r = -0.969、小麦:r = -0.975)。
結論
■ 出生直後の日射量は、生後6ヶ月より前のアレルゲン感作と強い負の相関を示した。
結局、何がわかった?
✅秋冬出生は、それ以外の季節の出生と比較して、食物感作が卵で 2.75 倍、牛乳で 3.05 倍、小麦で 3.97 倍高かった。
✅出生後3か月の日興曝露量に相関した。
秋冬出生は、アレルギー発症に関連する。
■ 同グループは、感作だけでなく食物アレルギーが多いということも報告しています。
■ 日光曝露はあくまで疫学的な情報を後から関連付けているのみですので、他の要因も関連する可能性はありますが、ビタミンDとアレルギーの関連の報告は多く、その信憑性はある程度あるかと思われます。
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今日のまとめ!
✅秋冬出生は、食物感作のリスクとなるかもしれない。