妊娠期に使用された抗生剤は、乳児期早期の炎症性腸疾患の発症リスクをあげるかもしれない

Örtqvist AK, et al. Fetal and early life antibiotics exposure and very early onset inflammatory bowel disease: a population-based study. Gut 2018:gutjnl-2017-314352.

炎症性腸疾患(IBD)は、乳幼児にも発症がみられます。

■ 炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease;IBD)のうち、例えば潰瘍性大腸炎は10歳代でも見られます。もちろん、成人に比較すると明らかに少ないので、なかなか経験することは多くはありません。

■ 今回は、小児期に発症するIBDが、抗生剤投与と関連するのではないかという先行研究があり、それを大規模コホート研究で確認した研究です。

 

スウェーデンで生まれた小児827239人を対象としたコホート研究により、抗生剤の使用と乳幼児期早期発症の炎症性腸疾患の発症の関連を調査した。

目的

■ 抗生物質の曝露とIBD(inflammatory bowel disease; クローン病[CD]および潰瘍性大腸炎[UC])の発症に関する研究は、家族性の要因や胃腸炎によってバイアスがある可能性がある。

■ そこで、妊娠中・幼児期と超早期発症(very early onset; VEO)IBDにおける、抗生物質の関連性を推定することを目的とした。

 

デザイン

■ 2006年から2013年にスウェーデンで生まれた小児827239人を対象としたこのコホート研究は、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、全身性抗生物質への曝露とVEO-IBD(診断が6歳未満)との関連を調べた。

■ 抗生物質およびIBDに関する情報は、スウェーデンにおける全国人口ベースの処方記録および全国患者記録から検索された。

■ 我々は、特に、両親のIBDおよび胃腸炎から、可能性のある交絡を調べた。

 

結果

妊娠中に抗生物質に曝露された小児は、一般集団の対照と比較してIBDのリスクが高く(調整HR [aHR] 1.93; 95%CI 1.06〜3.50)、それぞれ、クローン病がaHR 2.48(95%CI 1.01〜6.08)、潰瘍性大腸炎はaHR 1.25(95%CI 0.47〜3.26)だった

■ さらに、乳児期の全身性抗生物質曝露に関し、IBDのaHR 1.11(95%CI 0.57〜2.15)、クローン病 aHR 0.72(95%CI 0.27-1.92)、潰瘍性大腸炎 aHR 1.23(95%CI 0.45〜3.39)と推定された。

■ 最初にIBDを診断する前12ヵ月の胃腸炎の児を除外すると、妊娠中およびクローン病の間の抗生物質曝露についてのaHRは変わらなかったが、IBDに対する関連は有意ではなかった。

 

結論

■ 我々は、妊娠中(幼児期ではない)の抗生物質への曝露は、胃腸炎に関係なくVEO-IBDのリスク増加と関連することを見出した

■ 妊娠中の抗生剤曝露のリスク増加は、微生物の変化によるものかもしれない。

 

 

結局、何がわかった?

 ✅妊娠中の抗生剤使用は、乳幼児期早期の炎症性腸疾患のリスクを1.93倍に有意に上昇させるが、乳幼児期の抗生剤投与はそのリスクと関連しなかった。

 

 

抗生剤の使用と、炎症性腸疾患(アレルギー疾患)の関連が指摘される様になっています。

■ 妊娠中・乳幼児期早期の抗生剤使用は、アレルギー疾患のリスクになるかもしれないとう報告があります。

■ 抗生剤が微生物を変化させることになり、それがアレルギー疾患の発症に関連すると言われています。

■ 今回の報告は、アレルギー疾患ばかりでなく炎症性腸疾患の発症リスクを上げるかもしれないという報告です。

■ ただし、妊娠中も新生児期も、感染症に対する抗生剤は、必要な場合は多いです。ですので、これらの検討をそのまま「炎症性腸疾患のリスクが上がるから抗生剤を使わない」はまた、他のリスクをあげる結果になりかねませんので、必要なときには使用を考えていく必要もまた、あります。

 

 

今日のまとめ!

 ✅妊娠中の抗生剤使用は、児の早期発症炎症性腸疾患の発症リスクをあげるかもしれない。

 

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