Huang CC, et al. Risk factors for asthma occurrence in children with early-onset atopic dermatitis: An 8-year follow-up study. Pediatric allergy and immunology : official publication of the European Society of Pediatric Allergy and Immunology 2018; 29(2): 159-65.
乳児期のアトピー性皮膚炎は、その後のアレルギー疾患の発症リスク。
■ いわゆるアトピーマーチ(アレルギーマーチ)とは、乳幼児期に発症するアトピー性皮膚炎(や湿疹)に始まり、食物アレルギーや喘息を次々と発症してくる現象を指します。
アトピー性皮膚炎を早く発症して症状が続くと、他のアレルギー疾患のリスクが上がる
■ これまでは、どちらかというと低年齢(2歳未満)に発症したアトピー性皮膚炎の報告が多かったのですが、今回は3歳で検討されていた報告がありましたのでご紹介いたします。
3歳時にアトピー性皮膚炎だった1549人をが8歳時に喘息を発症しているリスク因子を評価した。
背景
■ 早期発症性アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis;AD)に罹患している児は、将来の喘息発症のリスクが高い。不利益のある曝露の重要な時期を特定することは、予防措置に有利である。
■ この研究の目的は、乳児期のアトピー性皮膚炎コホートにおいて、喘息発症した場合の妊娠中や幼児期の環境の修飾因子への曝露の役割を評価することだった。
方法
■ 対象となる参加者は、2005年に新生児24200人を登録したTaiwan Birth Cohort Studyから選ばれた。
■ 3歳までにアトピー性皮膚炎(AD)に罹患していると診断され、8歳まで追跡調査された例を登録した。
■ AD発症前に喘息と診断された参加者は除外された。
■ 従属変数は、参加者が8歳の前に喘息を有すると診断されるかどうかで定義された。
■ ロジスティック回帰モデルにより、喘息発生における異なる決定要因への曝露に対するリスクを評価した。
結果
■ アトピー性皮膚炎(AD)患者1549例が8年間の追跡調査を完了し、334例(21.6%)に喘息を発症した。
■ その結果、男児、出生順がより下、母の喘息歴、妊娠前の母親の肥満、3歳前の環境中の喫煙曝露は、喘息発症の重要なリスク因子であることが明らかになった。
■ さらに、早期の食物アレルギー、下気道感染、ADが有症状で持続した期間は、その後の喘息発症に影響した。
結論
■ この知見は、喘息の予防に対してより個人化されたアプローチを可能にするための幼児期アトピー性皮膚炎における喘息発症の要因を裏付けている。
結局、何がわかった?
✅3歳までにアトピー性皮膚炎を発症した児が、8歳までに喘息を発症するリスク因子は、男児、出生順がより下、母の喘息歴、妊娠前の母親の肥満、3歳前の環境中の喫煙曝露だった。
✅さらに、早期の食物アレルギー、下気道感染、アトピー性皮膚炎が有症状で持続した期間も、その後の喘息発症に影響した。
避けられるリスク因子に関しては、早めに対処したほうが良いかもしれない。
■ 3歳までにアトピー性皮膚炎を発症していても、まだ喘息を発症していないお子さんも多いですので、喘息発症を減らすために対策を考慮しても良いでしょう。
■ 早期発症のアトピー性皮膚炎があっても、感作に至らなければ、喘息発症が少ないという報告もあります。
早期発症のアトピー性皮膚炎があっても、感作がなければ他のアレルギー疾患の発症リスクは低い
■ 介入研究ではありませんので確定とは言えませんが、受動喫煙を避けたり、アトピー性皮膚炎の治療を早々に行うという方法は試して良いと思います。
今日のまとめ!
✅3歳までにアトピー性皮膚炎を発症した児が、その後喘息を発症するリスクとして避けられるのは、受動喫煙、アトピー性皮膚炎の長引きといえそうだ。