Teoh L, et al. Presence of atopy increases the risk of asthma relapse. Archives of disease in childhood 2018; 103(4): 346-51.
ウイルス(特にライノウイルス)感染が喘息増悪に関連し、吸入抗原作も喘息発作を頻繁にする。
■ ライノウイルス感染やアレルゲン感作は、喘息の増悪に強く関与します。
■ では、実際おこった喘息発作は、ウイルス感染により長引くのでしょうか?感作は関係するのでしょうか?
■ その疑問に応える報告がありましたのでご紹介いたします。
喘息発作により受診した2〜16歳の244人に関し、急性発作の重症度評価、回復期評価を行い、改善に感染症や感作が関係するかを評価した。
目標
■ PCRを用いた呼吸器ウイルス/非定型細菌の有病率を述べ、入院/非入院の喘息増悪児の急性期の重症度および臨床的な回復における呼吸器ウイルス/非定型細菌およびアトピー感作の影響を評価する。
試験デザイン
■ 2009〜2011年に実施された前向き研究。
セッティング
■ 病院2施設の救急部門で実施された。
参加者
■ 急性喘息発作により救急病院に受診した2〜16歳の244人の小児がリクルートされた。
■ 鼻咽頭吸引液と、アレルゲンによる皮膚プリックテストを実施した。
主なアウトカム指標
■ 結果は、下記で評価した。
(1)急性発作の重症度評価 (Australian National Asthma Council assessmentによる評価、入院、重症度スケール、急性喘息スコア、喘息のQOL [両親に対するPACQLQ]、症状に対する喘息日記スコア [ADS])
(2)回復期評価 (PACQLQ 21日間、ADS 14日間、喘息評価21日間)。
結果
■ ウイルス/非定型細菌のPCRは、小児の81.7%(ヒトライノウイルス75.1%、他の微生物と共に検出14.2%)において陽性であった。
■ Mycoplasma pneumoniaeおよびChlamydophila pneumoniaeはほとんど検出されなかった。
■ 微生物の存在は、急性喘息または回復転帰にほとんど影響を与えなかった。
■ アトピー感作のある児は、14日目までに治療を要する再発する可能性が有意に高かった(OR 1.11,95%CI 1.00〜1.23)。
結論
■ ウイルスの存在は喘息増悪に関連するが、喘息の回復に影響を与えないようである。
■ 対照的に、アトピー感作は喘息の再発と関連していた。
■ M.pneumoniaeおよびC.pneumoniaeは、幼児の急性喘息のトリガーとしてはまれである。
結局、何がわかった?
✅ライノウイルスなどの微生物は、急性喘息転機・回復転帰にほとんど影響しなかった。
✅アレルゲン感作は、14日目までに治療を要する再発する可能性が有意に高かった(OR 1.11,95%CI 1.00〜1.23)。
ウイルス感染でひとたび起こった喘息発作は、感作により長引いているようだ。
■ アレルゲン感作は、その後の喘息の寛解にも影響することがわかっています。
■ 感作を進行させない、普段の治療も重要ではないかと考えさせられますね。
今日のまとめ!
✅ライノウイルス感染をはじめとした感染症で喘息発作は起こりやすいが、ひとたび起こった喘息発作は、感作により長引いているようだ。