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Gastañaduy PA, et al. Impact of public health responses during a measles outbreak in an Amish community in Ohio: modelling the dynamics of transmission. American Journal of Epidemiology 2018. [Epub ahead of print]

麻疹(はしか)がアウトブレイクする可能性があります。

■ 2014年に米国のオハイオ州で、昔ながらの生活を守っているアーミッシュの方々に(すなわち予防接種をしていない)麻疹(はしか)が大流行しました。

アーミッシュ内での麻疹アウトブレイク

■ その際、予防接種と隔離処置プログラムが強力に推し進められ、それ以上の拡大は阻止されました。すなわち、患者隔離・感受性の高い人の隔離・10000人以上へのMMRワクチン投与が速やかに行われたのです。

■ その際、麻疹に罹患した340人(89%)はワクチン未接種でした。

 

麻疹(はしか)封じ込め策である、患者隔離・感受性の高い人の隔離・10000人以上へのMMRワクチン投与が実施されなかったとすれば、どれくらい拡大したのかのシミュレーションを実施した。

背景

■ 2014年にオハイオ州で麻疹がアウトブレイクした際の麻疹伝染性を定量化し、公衆衛生上の対応の効果を評価した。

 

方法

■ 症例発生率および連続的な間隔(一次および二次症例における症状発症間の期間)を用いて、有効再現数R(症例ごとに生じた二次症例の平均数)の傾向を評価した。

■ 封じ込め措置が開始されなかった場合のアウトブレイクの規模と期間、ワクチン接種の影響を決定するために、初期R値によって数学的モデルをパラメータ化した。

 

結果

■ 封じ込めが始まると、2週間にわたるR(〜4対1)減少が4倍であることを見出し、対照の措置ではR <1が持続した。

■ 控えめなシナリオの下では、管理努力がない場合、195日間(90%CI:179~223日)で8472例(90%信頼区間[CI]:8,447~8,489)が発生すると推定され、ワクチン接種を含む場合、128日間(90%CI:117~139日)に715例(90%CI:103~1338 )が発生すると推定された。

ワクチン接種で減少する症例数は7757例(90%CI:7,130~8,365例)であり、流行日数は67%減少(90%CI:48~98%)と推定された

 

結論

ワクチン接種が麻疹流行の減少を完全には説明できないため、地域社会の行動(社会的に遠ざけること)やその他の管理努力(隔離、検疫)の行動変化が重要であることを示唆している。

■ 私たちの研究結果は、麻疹の流行への反応と行動変化力学への理解の利益を強調する。

 

結局、何がわかった?

 ✅2014年オハイオ州で流行した麻疹(はしか)流行のシミュレーションでは、ワクチン接種で患者数は8472例から7757例が減少し、流行日数は67%減少したと推定された。

 ✅ただし、ワクチン接種だけで麻疹流行の減少を完全には説明できず、患者隔離・感受性の高い人の隔離といった行動の変化も重要であるとされた。

 

 

麻疹(はしか)予防接種をお願いします。アウトブレイクが起こらなければ、それはそれで良いのです。

■ アーミッシュの方々は予防接種を打ちたくなかった訳ではありません。あくまで昔の生活を守っておられるがために(例えば電気もない生活です)、予防接種という情報がなかっただけだったそうです。

■ 2018/5/4現在、麻疹(はしか)の報道は極めて少ない状況です。すでに感染者は100人を超えました。Twitterでは医療者を中心に、麻疹の予防接種をするよう呼びかけが続いています。

■ しかし、テレビや新聞は、いまだ芸能ニュースが中心で、麻疹に関しての報道は増えてきていません。

■ 情報が少ないなかで、はたして拡大はこのまま終わるのか?大きな拡大をするのではないか?私の杞憂に終わればいいのですが、懸念を持っています。

■ 2000年に本邦では28万人以上の麻疹患者さんが発生しました。その渦中に私もいました。麻疹は悲惨であることをよく知っています。その後、「麻疹ゼロ作戦」が開始され、麻疹が激減しました。しかし、2000年と今では、医療情勢は別の問題もあります。

重症化した際の小児医療の受け皿ははるかに小さくなっているのです。

厚生労働省「小児医療に関するデータ」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000096261.pdf)から引用。

麻疹がアウトブレイクし、患者さんが激増した場合、罹患しても受け入れる医療機関がない可能性が高いのです。

■ 2014年にWHOは、フィリピンにおける21403例の麻疹発生の際に110人が死亡したと報告しています。

■ フィリピンと日本で医療情勢が異なると思うかもしれませんが、大規模なアウトブレイクが始まって、医療機関がオーバーフローを起こせば、条件は大きく変わらなくなるかもしれません。

■ 是非、今のうちに予防接種をお願いいたします。

 

 

今日のまとめ!

 ✅日本と同様に麻疹の野生株が排除された米国においても、麻疹(はしか)のアウトブレイクは起こり得ることが、2014年に証明された。

 ✅シミュレーションでは、予防接種プログラムで8472例から7757例が減少し、流行日数は67%減少すると推定されたが、患者隔離・感受性の高い人の隔離といった行動の変化も重要であると推定された。

 

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