スポンサーリンク

Lowe AJ, et al. The skin as a target for prevention of the atopic march. Annals of Allergy, Asthma & Immunology 2018; 120(2): 145-51.

皮膚を通してアレルギー疾患が発症してくることが明らかになってきています。

■ 傷害された皮膚がアレルギー疾患への扉を開け、加速させていく可能性が指摘されています。

アトピー性皮膚炎発症・増悪における「ダブルスイッチ」理論

■ そこで今回は、Lowe先生らのグループによるレビューをご紹介します。すでに全文がフリーで読めるようになっていますので、上記のリンクからどうぞ。

 

アレルギー疾患の予防ターゲットは皮膚になってきている?

背景

■ “アトピーマーチ(atopic march)”は、アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)で始まり、食物アレルギーに続き、さらに呼吸器アレルギー(喘息 and/or アレルギー性鼻炎)発症に続く臨床的な連鎖のことである。

■ 最近数十年間、西洋化された社会におけるアレルギー疾患の罹患率の増加は、早期介入がアレルギーの進展を妨げるかどうかに対する大きな関心を呼んでいる。

■ アレルギー疾患は西洋化された国では一般的であり、健康、社会、経済的負担が大きくなる。これらの疾患が多い地域と時間経過に伴う罹患率の変化には大きく異なっており、罹患率を正確に推定することは困難である。

ADは、アトピー性湿疹(atopic eczema)または単に湿疹(eczema)としても知られており、アトピー性皮膚炎発症の最も初期の症状であり、約20%〜30%の乳児に影響する。

■ アレルギー疾患におけるもう一つの一般的で初期の症状は、食物アレルギーである。

■ 最近の報告では、食物アレルギーが早期の乳児の5%〜10%に影響すると示されており、オーストラリア、英国、米国を含むいくつかの国において、幼児における食物のアナフィラキシーに対する入院率は、比較的最近大きく上昇している。

■ アレルギー疾患は、時間とともに改善することもあるが、現在のところ、食物アレルギーの治療法はない

■ これらの状態は、西洋社会における小児に影響を及ぼす最も一般的な慢性疾患であるため、大きな健康上の懸念事項である。しかし、今日まで、アレルギー疾患の予防のための戦略に関するほとんどの研究は、残念な結果に終わっている

■ アレルギー疾患の病因における上皮バリア機能不全の役割についての認識が高まっており、ADに伴う皮膚バリアや炎症がアレルギー感作や他のアレルギー疾患のきっかけとなり得るというエビデンスが増えている。

■ AD、特に早期発症および重症ADと、食物アレルギー/喘息を含む他のアレルギー疾患との強い関連性が認められている。

■ この所見は、ADが、その後の食物アレルギー/アレルギー性呼吸器疾患のリスク増加の原因である可能性があると主張するアトピーマーチの仮説を導いた。

■ さらに、二重抗原曝露仮説(Gideon Lack らによって書かれたLack仮説)は、乳児期の皮膚へのアレルゲン曝露がアトピーマーチの第一歩としてアレルギー感作を惹起するかもしれないことを示唆している。

■ このレビューの目的は、アレルギー感作、食物アレルギー/アレルギー性呼吸器疾患の発症において、皮膚炎症 and/or 上皮バリア機能障害が重要であるという仮説の理論的根拠と支持するエビデンスを探すことである。

■ 次に、この仮説がアレルギー疾患予防に与える影響を考察する。

■ 特に、アレルギー疾患の一次および二次予防に対する皮膚バリアを改善させる介入の効果を試験する以前のおよび現在の研究を述べる。

■ さらに、我々は、アトピーマーチの潜在的予防に関する、先行研究および将来の研究の設計および解釈に関連した、重要な問題を調査する。

 

二重抗原曝露仮説

■ 二重抗原曝露仮説は、ADで起こるような皮膚炎症があり乳児期の皮膚バリア機能が低い場合、環境アレルゲンへの曝露が感作の誘導やその後の食物アレルギー発症をもたらす可能性があると仮定し、食物アレルギー罹患率の上昇を説明することができた。

■ 一方、食物アレルゲンの早期経口摂取は、食物に対する免疫寛容の促進を助けることによりこのリスクを排除することができる。

■ この仮説にはいくつかの重要な意味がある。

第1の意味は、食物アレルゲンへの早期経口曝露が免疫寛容を促進するのに役立つことである。

■ Learning Early About Peanut(LEAP)試験では、ピーナッツアレルギーのリスクが高い児(重症湿疹/卵アレルギー)において、生後4〜11ヶ月からピーナッツアレルゲンを定期的に摂取すると、食物アレルギーの累積発症率が11.8%(13.7-1.9%)に低下するという結果だった。

■ 卵を含む他のアレルゲンに対する同様の戦略を評価する試験は決定的とは言えなかったが、複数の研究結果を一緒にプールすると、早期(生後4~6ヶ月)の卵導入が卵アレルギーのリスクを低下させるのに有効であった。

■ 対照的に、牛乳アレルギーに対する牛乳の導入時期の影響については、整合性のあるエビデンスは存在しない。

■ 早期の食物アレルゲン曝露に対するこれらの予防効果は、アレルゲン特異的であると思われる。すなわち、1種類のアレルゲンの早期導入は、他のアレルゲンに対するアレルギーの発症を予防するものではない

■ また、湿疹を含む他のアレルギー疾患に影響するかは明らかではない

■ 二重抗原曝露仮説の第2の意味、およびこのレビューの大きな焦点は、皮膚バリアの改善 and/or ADの炎症が先回りして予防された場合、食物アレルギーや、おそらく他のアレルギー疾患の発症率も減少する可能性があるということである。

■ これは、食物アレルギー予防のための標的器官に関して大きな変化があることを意味している。

■ そこで、この分野で現在進行中の研究を裏付けるこの仮説とエビデンスについて述べる。

 

結局、何がわかった?

 ✅アトピーマーチは、アトピー性皮膚炎から始まり、食物アレルギー、さらに喘息/アレルギー性鼻炎に続く臨床的な連鎖のことである。

 ✅アトピー性皮膚炎による皮膚バリア障害や炎症が、感作や他のアレルギー疾患のきっかけとなるというエビデンスが増えている。

 ✅二重抗原曝露仮説は、①食物アレルゲンへの早期摂取が免疫寛容を促進するのに役立つこと、②皮膚バリ障害 and/or 炎症が予防された場合、食物アレルギーや他のアレルギー疾患の発症率も減少する可能性を示唆している。

 

 

今回はイントロダクション。多少省略・意訳しながら全6回で進めます。

■ 皮膚のみですべてではないかもしれませんが、アレルギー疾患の発症・増悪において、皮膚が大きなルートを担っていることが明らかになってきています。

■ 難しい話より、臨床研究の結果が中心となっているので、分かりやすいレビューです。全6回で翻訳しようと思います。

 

■ 第2回は、「皮膚症状とアトピーマーチとの関係」です。

【部分訳】皮膚は、アトピーマーチ予防のターゲットか?(第2回/全6回)~皮膚症状とアトピーマーチとの関係~

 

 

今日のまとめ!

 ✅アトピーマーチの予防のためのターゲットは、皮膚かもしれない。

 

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事