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Müller‐Rompa S, et al. An approach to the asthma‐protective farm effect by geocoding: Good farms and better farms. Pediatric Allergy and Immunology 2018; 29:275-82.

衛生仮説とアレルギー。

うさみん
ねえ、ほむほむ。
今日、患者さんに「動物園にいったらアレルギーになりにくくなるって聞いたんですけど、ホント?」って聞かれたんだけど、え?って思ったんだけど。
そんな話あるの?

ほむほむ
う~ん、動物園にたまに行くくらいじゃあ効果はないと思うけど、それは「衛生仮説」という考え方かもね。

うさみん
衛生仮説?

ほむほむ
衛生仮説は、1989年にストラカンという英国の疫学者が提唱した概念だね。
ストラカンは、英国で生まれたこどもに関して検討して、生まれたときに上のきょうだいが多いほどその後の花粉症などアレルギーの発症が少なくなるという現象を報告したんだ。
そしてその現象は、上のきょうだいから感染症をよくもらうから、と推測したんだ。

うさみん
そんなことあるんですか?

ほむほむ
うん、最近のものでは、アーミッシュに対する検討がNEJMに報告されたのが有名かなあ。これは、伝統的な農業をしている環境の方が喘息が少なくなって、環境中のエンドトキシン(細菌の産生する毒素)が多いことと相関するんじゃあないかって推測されているよ。

ほむほむ
あとは、処理されていない農場のミルクを飲んでいたり、食洗機でなく手洗いした食器を使っている方がアレルギーが少なかった、、なんていう報告もあるね。

うさみん
う~ん、むしろ感染症が増えて問題になりませんか?

ほむほむ
そうだね。
衛生仮説は、アレルギー発症のメカニズムに対してとても重要な考え方だけど、そのまま臨床に応用するのは難しい面が大きいんだ。
今回は、そんな衛生仮説の報告のひとつを紹介しよう。

 

小児2265人の住んでいる場所と農場の距離を確認し、喘息罹患との関連を調査した。

背景

■ 喘息リスクの低下と農場で育つこととの一貫性の高い関連性は、過去、農場に直接曝露されてことに起因する。

■ 対照的に、より大きな環境で考えた地理的な決定要因は、全く評価されてこなかった。

■ この研究では、喘息やアトピーにおける、居住地の農場への近接効果および環境変数の影響を評価した。

 

方法

■ GABRIELA研究におけるバイエルンの小児2,265人の住所を、地理コードに変換した。

■ 最も近いウシ飼育場への近接度を計算し、環境の特性は衛星データや地上モニタリングから得た。

児童501人のマットレスダスト検体中の細菌の多様性を、16S rRNAアンプリコン配列決定によって評価した。

■ ロジスティック回帰モデルを用いて、アウトカムと曝露変数との関連を計算した。

 

結果

喘息とアトピーは、半径最大100m内における農場の存在に反比例していた。

■ 環境変数における、緑地度・樹木のカバー程度・土壌の密閉度・高度・大気汚染は、農家と非農家というだけでなく、近くに他の農場があるかないかでも異なった。

■ 主に喘息に対する防御効果に関係するのは、より多様な微生物曝露といった伝統的な農場の特性と強く関連することが明らかになった。

■ 非農家の児の、農場に近接しているときの保護効果は、農場のミルクの摂取によって説明された。

 

結論

100m以内に農場があることは喘息に対する防御効果と強く関連しており、幅広い微生物曝露を伴う、より伝統的な農業スタイルを反映している可能性がある。

 

結局、何がわかった?

 ✅100m以内に農場があることと、アレルギー・喘息発症リスクは反比例する。

 

 

動物園に行けばいいというわけではなく、伝統的な農場であったり、(処理されていない)ミルクの摂取がアレルギーの発症抑制に関連しているのかもしれない。

■ 衛生仮説は、多くの報告があるものの、うさみんが言ったとおり感染症の増加に関連する可能性があり、実臨床にはなかなか適応はしにくいのかなあと思います。

 

今日のまとめ!

 ✅伝統的な農場が半径100m以内にあると、喘息の発症が少なくなるかもしれない。

 

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