Staevska M, et al. Night-time sedating H1-antihistamine increases daytime somnolence but not treatment efficacy in chronic spontaneous urticaria: a randomized controlled trial. British Journal of Dermatology 2014; 171:148-54.
慢性じんましんに対し、夜間に鎮静性(眠気のある)抗ヒスタミン薬を追加するのは正しいか?
この抗ヒスタミン薬は、古い世代の抗ヒスタミン薬だねえ。
抗ヒスタミン薬は眠気の副作用がでやすいし、「眠気がない」という自覚でも「インペアード・パフォーマンス」といって意識されない能力の低下がみられるから、、
慢性特発性じんましん24人を、1)ザイザル単独1日20mg群と、2)ザイザル15mg+アタラックス50mg(夜のみ)群にランダム化し、クロスオーバー試験により有効性と副作用を比較した。
背景
■ 多くの医師は、慢性蕁麻疹を治療する最も効果的な方法は、朝に非鎮静の第2世代の抗ヒスタミン薬を、睡眠を向上させるために夜には鎮静作用のある第1世代の抗ヒスタミン薬(通常はヒドロキシジン)を服用することだと考えている。
■ しかし、この意見は十分に確立されているだろうか?
目的
■ 慢性特発性蕁麻疹(chronic urticaria; CSU)患者を治療する場合に、レボセチリジン(ザイザル)15mg /日にヒドロキシジン(アタラックス)50mg/日を追加する群(レボセチリジン+ヒドロキシジン) vs レボセチリジン20mg /日の群(レボセチジン単独療法)で治療した場合の、有効性と望ましくない鎮静効果の発症率を比較することにより、この意見を確認した 。
方法
■ このランダム化二重盲検クロスオーバー試験により、治療が困難なCSU患者24人に対し、レボセチリジン+ヒドロキシジンまたはレボセチリジン単独療法を5日間行った。
論文より引用。研究デザイン。
■ 各治療期間の終わりに、生活の質(慢性蕁麻疹QOLアンケート [Chronic Urticaria Quality of Life Questionnaire; CU‐Q2oL])、蕁麻疹の重症度(蕁麻疹活動性スコア [Urticaria Activity Score,; UAS])、夜間の睡眠障害、日中の眠気を評価した。
結果
■ 蕁麻疹活動性スコア(UAS)、夜間睡眠障害はどちらの治療も有意に低下し(効果に関して二群に有意差なし)、CU-Q2oLスコアは有意差があった(P <0.001)。
論文から引用。蕁麻疹活動性スコアに有意差なし。
■ 試験開始時と比較して、レボセチリジン単独療法(P = 0.006)では日中の眠気が有意に低下したが、レボセチリジン+ヒドロキシジン(P = 0.218)では有意ではなかった。
論文より引用。夜間睡眠障害に有意差なし。日中の眠気に有意差あり。
■ 日中の眠気に関して2つの治療法を直接比較すると、レボセチリジン単独療法がより好まれた(P = 0.026)。
結論
■ 鎮静性である第一世代の抗ヒスタミン薬(通常はヒドロキシジン)を夜間に追加することによって睡眠が改善されるというよく使用される方法は支持されない。
■ これらの結果は、蕁麻疹の第一選択治療は、新世代の非鎮静H1抗ヒスタミン剤のみであると述べている蕁麻疹のガイドラインに一致する。
結局、何がわかった?
✅慢性特発性じんましん24人を、1)ザイザル単独1日20mg群と、2)ザイザル15mg+アタラックス50mg(夜のみ)群にランダム化し比較したところ、じんましん活動性や夜間の睡眠障害には有意差なく、日中の眠気に有意差が認められた。
夜間であっても、眠気のある抗ヒスタミン薬は避けたほうがよさそうだ。
■ 夜間により眠れるだろうと考えて鎮静性の抗ヒスタミン薬を処方するより、非鎮静性と考えられる抗ヒスタミン薬で慢性じんましんを治療したほうがよさそうですね。
※ザイザルではありませんが、市販の抗ヒスタミン薬としてはアレグラが最も眠気が少ないです。この製品は、アレグラのジェネリックです。OTCとしては安価ですのでお勧め。
今日のまとめ!
✅慢性じんましんの治療に対し、夜間であって鎮静性抗ヒスタミン薬を選択するのはさけたほうがよさそうだ。