寒冷蕁麻疹。有病率、治療、予後は?

物理性蕁麻疹の一種、寒冷蕁麻疹とは?

■ 寒冷蕁麻疹は、『物理性蕁麻疹』、すなわち、様々な刺激でおこる蕁麻疹のうちの一つです。
■ ありふれた物理的な刺激のひとつが『寒さや冷たさ』ということです。

■ 発症するメカニズムは十分にわかっていませんが、蕁麻疹だけでなく、発熱、腹痛など、そして強いアレルギー症状であるアナフィラキシーを起こすこともあります。

■ 最近、寒冷蕁麻疹の有病率、誘因、治療、軽快率、アナフィラキシーのリスクを評価した初めてのメタアナリシスがありましたので共有します。

Prosty C, Gabrielli S, Le M, Ensina LF, Zhang X, Netchiporouk E, et al. Prevalence, Management, and Anaphylaxis Risk of Cold Urticaria: A Systematic Review and Meta-Analysis. The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice 2022; 10:586-96.e4.

研究対象は、過去10年間に発表された寒冷蕁麻疹と慢性特発性蕁麻疹に関する22研究(1135人)において、メタアナリシスを実施した。

背景

■ 寒冷蕁麻疹(Cold urticaria)は慢性誘発性蕁麻疹(chronic inducible urticaria; CIndU)の一つのサブタイプであり、高い罹患率とアナフィラキシーのリスクがある。
■ 寒冷蕁麻疹の有病率、その管理方法、関連するアナフィラキシーの有病率に関する研究は少ない。

目的

■ 慢性蕁麻疹やCIndU患者における寒冷蕁麻疹の有病率を評価し、寒冷蕁麻疹の管理方法について検討し、関連するアナフィラキシーの有病率を明らかにする。

方法

■ 過去10年間に発表された寒冷蕁麻疹およびCIndUに関する研究をPubMedおよびEMBASEで検索した。
■ CIndUやCU患者における寒冷蕁麻疹の有病率、H1-抗ヒスタミン薬やオマリズマブによる管理、関連するアナフィラキシーの有病率に関してメタ解析を実施した。

結果

■ システマティックレビューには22研究が、メタアナリシスには14研究が含まれた。
■ CUやCIndU患者における寒冷蕁麻疹の有病率は、それぞれ7.62%(95%信頼区間[CI]、3.45%~15.99%;I2 = 98%)および26.10%(95%CI、14.17%~43.05%;I2 = 97%)だった。
■ 寒冷蕁麻疹は、95.67%(95%CI、92.47%~97.54%;I2 = 38%)の患者でH1-抗ヒスタミン薬により管理され、5.95%(95%CI、2.55%~13.27%;I2 = 83%)の患者でオマリズマブにより管理された。
■ 寒冷蕁麻疹患者におけるアナフィラキシーの有病率は21.49%(95%CI、15.79%~28.54%;I2 = 69%)だった。

結論

■ 寒冷蕁麻疹はCIndUおよびCU患者の中でかなりの割合を占め、主にH1-抗ヒスタミン薬で管理されている。
■ アナフィラキシーは一般的であり、エピネフリン自己注射器の処方が考慮されるべきである。

 

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