日本人の慢性特発性じんましんに対するオマリズマブ(商品名ゾレア)の効果は?

慢性じんましんは生活の質を大きく下げる。

■ 慢性蕁麻疹は、強いかゆみを伴うこともあり、生活の質もさがるとされています。

■ そして最近、オマリズマブが実際の臨床においてどれくらい有効かを検討した報告がなされました。

 

Hide M, Fukunaga A, Suzuki T, Nakamura N, Kimura M, Sasajima T, et al. Real-world safety and effectiveness of omalizumab in Japanese patients with chronic spontaneous urticaria: A post-marketing surveillance study. Allergology International 2022.

従来の治療法では効果が不十分な日本人の慢性特発性じんま疹患者を対象に、オマリズマブ52週間投与の安全性と有効性を評価した。

背景

■ 慢性特発性じんま疹(chronic spontaneous urticaria; CSU)患者に対するオマリズマブの安全性と有効性は確立しているが、特に日本では、実際の長期投与データは少ない。

方法

■ 52週間の非盲検単一群観察研究により、従来の治療法では効果が不十分な日本人CSU患者を対象に、オマリズマブ初回投与の安全性と有効性を評価した。

結果

■ 280例中235例が試験を完了した。
■ 患者の大多数は、18歳以上65歳未満であり、青年期(12歳以上18歳未満)は全体の9.6%だった。
■ ベースライン時のCSUの平均±標準偏差(SD)期間は1.6±3.1年であり、CSU患者の46.1%が罹病期間は6カ月未満だった。
■ ベースライン時の蕁麻疹コントロールテスト(Urticaria Control Test; UCT)スコア、週間蕁麻疹活動性スコア(Weekly Urticaria Activity Score; UAS7)、DLQI(Dermatology Life Quality Index)の平均±SDはそれぞれ5.1±3.2、25.2±11.9、8.4±5.9だった。
■ 観察期間の平均±SDは330.3±86.2日だった。
■ 再発は65例に認められ、そのうちオマリズマブによる再投与を1回、2回、3回以上必要とした症例はそれぞれ51例、9例、5例だった。
■ 有害事象(adverse events; AE)、重篤なAE、薬物有害反応(adverse drug reactions; ADR)の発現率は、それぞれ11.8%、1.4%、3.9%と報告された。
■ 主な副作用は、蕁麻疹(1.8%)、湿疹(1.1%)だった。
■ 青年期にはADRを経験した者はいなかった。
■ また、Physician's Global Impression of Changeでは、累積92.8%の患者さんが反応を示し、52週目までにUCT≧12、UAS7≦6、DLQI≦5を達成した患者は、それぞれ81.3%、75.0%、95.1%だった。

論文より引用。

画像

観察期間を通しての全体集団の変化に関する Physician's Global Impression of Change。
医師は、各訪問時に治療開始時からのCSUの変化を、「著しく改善した」(5を示す)、「改善した」(4を示す)、「変化なし」(3を示す)、「悪化した」(2を示す)、「評価不能」(1を示す)の1~5のスケールで評価した。

結論

■ 本試験は、日本の実臨床において、従来の治療法では十分な効果が得られないCSU患者に対するオマリズマブの安全性と有効性を支持するものだった。

 

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