抗ヒスタミン薬の比較試験は珍しいです。
■ 慢性じんましんに対して抗ヒスタミン薬、特に非鎮静性の抗ヒスタミン薬は汎用されています。
■ しかし、抗ヒスタミン薬を直接比較した試験は少なく、ザイザルとデザレックスではザイザルの方が有効性が高いかもしれないという報告があります。
■ 今回は、最近保険適応がおりたルパフィン(ルパタジン)とザイザルの比較試験をご紹介いたします。
Maiti R, et al. Rupatadine and levocetirizine in chronic idiopathic urticaria: a comparative study of efficacy and safety. Journal of drugs in dermatology 2011; 10(12): 1444-50.
成人の慢性じんましん患者70人に対し、ルパフィンとザイザルにランダム化して有効性を評価した。
背景
■ 慢性特発性蕁麻疹は持続的な消耗性の症状のため、治療が困難である。
■ 新しい世代の抗ヒスタミン薬は、この状態のファーストラインの治療薬である。
■ この研究の目的は、慢性特発性蕁麻疹(chronic idiopathic urticaria; CIU)に対するルパタジンとレボセチリジンの有効性と安全性を比較することである。
方法
■ 2つの薬剤を比較するためにCIU患者70人をランダム化した、シングルブラインド単一施設並行群間、外来セッティングにおける臨床研究を実施した。
■ 初回の臨床評価と試験開始時の検査後、ルパタジンは35人に処方され、レボセチリジンは35人の患者に4週間処方された。
■ フォローアップ時に、患者を再評価し、次いで様々な統計的ツールを用いて比較した。
■ 主なアウトカム指標は、好酸球、好酸球の絶対数(Absolute Eosinophil Count; AEC)、血清IgE、総症状スコア、Aerius QOLアンケートスコア(Aerius Quality of Life Questionnaire score,)、全体の有効性スコア(Global efficacy score)だった。
結果
■ ルパタジンは、試験開始時から28日までの症状スコアを含む臨床状態を有意に改善した。
■ ルパタジン群では、DC好酸球が27.9% (P=0.027)、AECが35.6%(P = 0.036)、血清IgEが15.3%(P = 0.024)、総症候スコアが28.2%(P = 0.02)、Aerius QOLアンケートスコアが27.3%(P = 0.006)低下した。
■ ルパタジンの全有効性スコアは、レボセチリジンよりも有意に大きかった(P = 0.009)。
■ 有害な薬物反応の全体的な発生率は、ルパタジン群ではより少なかった。
結論
■ ルパタジンは、より優れた有効性と安全性プロファイルのために、レボセチリジンと比較してCIUにおけるより良い選択である。
結局、何がわかった?
✅ ルパタジン(ルパフィン)は、レボセチリジン(ザイザル)に比較して、慢性じんましんスコアを有意に改善させた。
ルパフィンの有効性と安全性を示した報告ではあるものの、、
■ ルパフィンは12歳以降で保険適応があり、最近長期処方が可能になりました。抗PAF作用という、他の抗ヒスタミン薬にない作用があるとされています。
■ 今回の報告では、ルパフィンが慢性じんましんに有効で、ザイザルよりもさらに効果的だったとされています。
■ ただ、添付文書上はルパフィンはやや眠気が多い印象です。他剤でコントロール困難な場合の選択肢かなあと、自分自身では位置づけています。
今日のまとめ!
✅ 慢性じんましんに対し、ルパフィンがザイザルより有効かもしれない。