アニサキス症とアニサキスアレルギー。
■ アニサキスは、魚に寄生する寄生虫です。
■ タラやカツオは寄生率が高く、マグロは低いとされていますが、大型魚は内臓から筋肉への移行がすくないためとされており、安全というわけではありません。
ご自身の標本を惜しげも無く公開されています。
アニサキス、、標本にすると美しいですね。
■ 食中毒統計によると、年間124件の報告があるそうです(アニサキス症の最近の知見と動向. 医学と薬学 2017; 74:1387-92.)
■ 一方、日本でのアニサキスアレルギーの初報告は1990年で、それ以降症例報告は多数あります。
■ 日本での統計は少ないのですが、横浜市立みなと赤十字病院アレルギーセンターからの報告で、成人のアナフィラキシー284例中、アニサキス21例(7%)と報告されています(アレルギー 2013; 62:673-80)。
■ 今回はイタリアからのアニサキスアレルギーの報告。
スポンサーリンク(記事は下に続きます)
Consortium AIA. Anisakis hypersensitivity in Italy: prevalence and clinical features: a multicenter study. Allergy 2011; 66:1563-9.
イタリアの24施設に受診した成人、計10,570人のアニサキスに対する感作/症状を検討し、アニサキスアレルギーの頻度を検討した。
背景
■ Anisakis simplex(As)は魚類の寄生虫であり、消化管を介してヒトを感作することが可能である。
■ イベリア半島の外側における、Asに対する過敏症とアレルギーの有病率はこれまで調査されていなかった。
■ そこで、イタリアの様々な地域におけるアニサキス過敏症を調査した。
方法
■ 2010年10月から12月までにイタリアのアレルギーセンター24施設で診察された被験者を、特定のインタビューとAs抽出物を用いた皮膚プリックテスト(skin prick test; SPT)によって調査した。
結果
■ 計10,570人の被験者がスクリーニングされた。
■ そのうち474人(4.5%)がAnisakisに対するSPTが陽性であり、66人(感作された人のうち14%;被験集団の0.6%)がAsアレルギーの病歴を有していた。
■ マリネされたアンチョビが、アレルギー反応の最も多い原因であった。
■ 34例(52%)がアニサキスに対してのみ感作していた。
■ 感作率は顕著な地理的な違いがあり(範囲:0.4〜12.7%)、アドリア海岸やティレニア海岸で最も高かった。これらの地域は自家製でマリネされたアンチョビが古くからの伝統になっている。
■ 北イタリアの内陸部では、有病率は住民の数に直接関係していた。
■ アニサキス過敏症の有病率に対する移民の影響を分析したところ、ミラノとトリノの感作されている対象のうち約60%がイタリア南部またはヨーロッパ以外の国の出身だった。
結論
■ アニサキス過敏症やアレルギーは、主に食習慣の問題である。
■ この種のアレルギーは、マリネされたアンチョビが普及している地域では、「風土病」とみなすことができるが、一方で海産物のカルパッチョや寿司を食べるなどの新しく流行している摂取スタイルが、内陸の大都市での主要な原因となっている。
スポンサーリンク(記事は下に続きます)
結局、何がわかった?
✅イタリアの24施設に受診した成人のうち、4.5%がアニサキスに対する皮膚プリックテスト陽性であり、感作された人のうち14%(被験全体の0.6%)にアニサキスに対するアレルギーの病歴があった。
✅ 食習慣に影響をうけていた(マリネされたアンチョビ、海産物のカルパッチョや寿司)。
日本の小児におけるアニサキスアレルギーの頻度は良くわかっていないようです。
■ 私は小児のアニサキス症の経験は少なく、さらにアニサキスアレルギーの経験もあまりありません(感作と本当のアレルギーはまた別の話として)。
■ 小児のアニサキスアレルギーの報告も頻度からみた報告は少ないようです。
■ イタリアでの前向き研究では、6歳以降に感作が増えてきて食生活に影響されるようです(J Investig Allergol Clin Immunol 2017; 27:142-3.)。
■ 食習慣から考えると日本ではもっと多そうな気もしますが、見逃しているのかな、、
今日のまとめ!
✅ イタリアにおける成人のアニサキスアレルギーの頻度は0.6%であり、食習慣の影響を受けているようだった。