黄色ブドウ球菌は、アトピ—性皮膚炎が悪化したときに皮膚に定着し、アレルギーを悪化させます。
■ アトピ—性皮膚炎における黄色ブドウ球菌の研究はすでに多くの先行研究があり、ブログでも多くの報告をご紹介してきました。
■ 皮膚に定着している黄色ブドウ球菌密度が高いほど食物アレルギーのリスクがあがることはすでに報告されていますが、今回はアトピ—性皮膚炎に定着した黄色ブドウ球菌が、喘息のコントロールに使用される吸入ステロイド薬の必要量も増加させるかもしれないという研究結果です。
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Uong P, et al. Staphylococcus aureus colonization is associated with increased inhaled corticosteroid requirements in patients with atopic dermatitis and asthma. The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice 2017; 5:1782-3.
アトピ—性皮膚炎における黄色ブドウ球菌の定着と喘息の特定の機能との関連を調査した。
背景
■ アトピ—性皮膚炎(atopic dermatitis; AD) は、一般的に、黄色ブドウ球菌による皮膚コロニー形成と関連しており、これは皮膚バリア機能不全やステロイドへの感受性低下に関連する。
■ 臨床的には、患者における黄色ブドウ球菌の定着は、重症のAD、食物アレルギー、喘息と関連する。
方法
■ この報告では、黄色ブドウ球菌の定着と喘息の特定の機能との関連を調査した。
■ ブドウ球菌エンテロトキシンはステロイド抵抗性を誘発することが知られているため、黄色ブドウ球菌が定着した喘息患者のステロイド必要量が増加しているかどうかに興味があった。
■ そのメカニズムには、ステロイド応答遺伝子の転写に干渉する糖質コルチコイド受容体βの発現増強の誘導が含まれた。
結果
■ コントール不十分な喘息患者の気管支肺胞洗浄におけるT細胞受容体レパートリーを解析すると、スーパー抗原として作用するブドウ球菌エンテロトキシンの効果と考えられた。
■ マウスモデルでは、スーパー抗原が気道過敏性や炎症を誘発することが示された。
結論
■ まとめると、これらの研究は黄色ブドウ球菌が喘息における疾患の重症度に寄与し得ることを示唆している。
■ 黄色ブドウ球菌の根絶が喘息管理を改善し、副腎皮質ステロイドの必要量を減らすかどうかを確定するための今後の前向き研究が必要である。
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結局、何がわかった?
✅ コントール不十分な喘息患者の気管支肺胞洗浄におけるT細胞受容体レパートリーに対し、スーパー抗原として作用するブドウ球菌エンテロトキシンの効果があり、黄色ブドウ球菌が喘息における疾患の重症度に寄与し得ると考えられた。
アトピ—性皮膚炎が、黄色ブドウ球菌を介して喘息管理のための吸入ステロイド薬の使用量を増やしているかもしれない。
■ 黄色ブドウ球菌が、アトピ—性皮膚炎の悪化・発症や、食物アレルギーのリスクに影響していることはすでに報告がありますが、今回は喘息にも影響しているかもしれないという結果でした。
今日のまとめ!
✅ 黄色ブドウ球菌は、喘息も悪化させるかもしれない。