アレルギー性鼻炎に対し、点鼻ステロイドと抗ヒスタミン薬内服のどちらが有効か?

アレルギー性鼻炎に対し、点鼻ステロイド薬を使用する?抗ヒスタミン薬を内服する?

■ アレルギー性鼻炎は、鼻閉・くしゃみ・かゆみを特徴とし、とくに春先はスギ花粉症で苦しむ方も多いでしょう。

ステロイド点鼻薬と内服抗ヒスタミン薬のうち、どちらがより有効でしょう?

■ そこで、そのテーマのメタアナリシスをご紹介いたします。

 

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Juel-Berg N, et al. Intranasal corticosteroids compared with oral antihistamines in allergic rhinitis: A systematic review and meta-analysis. American journal of rhinology & allergy 2017; 31:e19-e28.

アレルギー性鼻炎に対する点鼻ステロイド薬と経口抗ヒスタミン薬の有効性を比較した、ランダム化比較試験5件(計990人)に対するメタアナリシスを実施した。

背景

点鼻ステロイド(Intranasal corticosteroids; INS)(ステロイド経鼻スプレー)と経口抗ヒスタミン薬(oral antihistamines; OA)は、アレルギー性鼻炎(allergic rhinitis; AR)患者に対する最も一般的な治療法のうちの2つである。

■ 我々の知る限りでは、このトピックに関して、2007年以降に公開された研究を含むシステマティックレビューは報告されていない。

 

目的

■ ARの治療として、INSと非鎮静性OAと比較する。

 

方法

■ システマティックレビューやメタアナリシスは、推奨グレード、評価、開発、評価原則と、患者、介入、比較、結果のアプローチに基づいていた。

■ 一次文献は、2015年1月22日まで検索された。

■ 適格の基準は、AR患者におけるINSやOAの有効性および/または有害事象を比較したランダム化比較試験だった。

■ 複数のアウトカム指標についての標準化平均差(standardized mean differences;SMD)と、単一の研究アウトカムの場合の平均差を用いて、連続したアウトカムデータを分析した。

■ プールされた効果の推定値、95%信頼区間(confidence interval ;CI)は、ランダム効果モデルを使用して計算された。

 

結果

■ メタアナリシスには、計990人を対象としたランダム化比較試験5件が含まれていた。

INSは、総鼻症状スコアの改善(SMD -0.70 [95%CI -0.93〜-0.477])および以下の症状改善においてOAより優れており、鼻閉 (SMD-0.56[95%CI、-0.82~-0.29])、鼻汁(SMD-0.47[95%CI、-1.00~0.05])、鼻のかゆみ(SMD-0.42[95%CI、-0.65~-0.18])、くしゃみSMD-0.52[95%CI、-0.73~-0.32])、QOLの平均差は-0.90 (95%CI、-1.18~-0.62)だった。

眼症状の軽減には差がなかった(SMD -0.08 [95%CI -0.23〜0.08])

■ さらに、ランダム化比較試験4件がナラティブ解析に含まれていた。

■ ナラティブ解析の結果は、メタアナリシスの結果と同等だった。

 

結論

■ INSは、AR患者の鼻症状やQOLの改善においてOAより優れていた。

 

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結局、何がわかった?

 ✅ 点鼻ステロイド薬は、抗ヒスタミン薬内服に比較してアレルギー性鼻炎の総鼻症状スコアの改善に優れていた(SMD -0.70 [95%CI -0.93〜-0.477])。

 ✅ 眼症状の軽減には差がなかった(SMD -0.08 [95%CI、-0.23〜0.08])。

 

アレルギー性鼻炎がメインであれば、点鼻ステロイド薬を優先した方がよさそうですが、、

アレルギー性鼻炎に関して、経口抗ヒスタミン薬より点鼻ステロイド薬の方が有効と言えそうです。

■ アレルギー性結膜炎に関しても点鼻ステロイド薬がある程度有効という先行研究もあり、個人的にはバイオアベイラビリティが低い点鼻薬は考えていっていいのだろうと思います(バイオアベイラビリティ、というのは生体利用活性といいどれくらい体全体に利用されるかといった指標です。局所的な薬に関しては、そこにしか効果がない方が副作用が少ないといえますので、バイオアベイラビリティが低い方がより有利といえます)。

一部の点鼻ステロイド薬はわずかな身長抑制が示唆されています(Pediatrics 2015; 135:e348-56.)。ただし、バイオアベイラビリティの低いモメタゾン(商品名ナゾネックス)は身長抑制を来さないことが報告されています(Pediatrics 2000; 105:e22-e.)。

■ もちろん、症状や希望にも応じて変更するべきでしょうけれども、私は症状が強い場合はモメタゾンを中心に追加することが多いです。

■ なお、OTCの点鼻薬はバイオアベイラビリティの高いプロピオン酸ベクロメタゾンが使用されていますし、薬剤性の粘膜肥厚(ひどい鼻づまり)を起こしうる血管収縮薬が配合されていることがあるので注意を要すると考えています。

 

 

今日のまとめ!

 ✅ アレルギー性鼻炎に対し、抗ヒスタミン薬内服よりも点鼻ステロイド薬のほうが有効と言えそうだ。

 

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