プロバイオティクス(乳酸菌製剤)がアトピー性皮膚炎を予防するという報告が複数あります。
■ プロバイオティクス(乳酸菌製剤)に関して、アレルギー疾患の予防や治療に有効「かもしれない」という報告が増えています。
■ 結果は有効・無効に分かれており、一応メタアナリシスでは有効かもとはされています。
最近、このテーマでメタアナリシスが再度行われていましたので、ご紹介いたします。
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Li L, et al. Probiotic Supplementation for Prevention of Atopic Dermatitis in Infants and Children: A Systematic Review and Meta-analysis. Am J Clin Dermatol 2018.[Epub ahead of print]
アトピー性皮膚炎の発症リスクに対するプロバイオティクス内服の効果を調査した計28研究に関して、メタアナリシスを実施した。
背景
■ 乳児期早期におけるプロバイオティクス内服は、アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)の予防に効果的であり得る。
■ しかし、有効性に関する結果は議論の余地がある。
目的
■ 本研究の目的は、ADの発症リスクに対するプロバイオティクス内服の効果を調査することだった。
方法
■ プロバイオティクス内服とADに関し潜在的に関連する研究において、PubMed、EBSCO、Embase、Web of Scienceデータベースを2018年3月8日までシステマティックに検索した。
■ 研究に含まれた乳児と小児は、胎児期および/または出生後において、それまでADと診断されずプロバイオティクスに曝露された患者だった。
■ オッズ比(odds ratios ; OR)と95%信頼区間(confidence intervals; CI)を計算し、JadadとNewcastle-Ottawa尺度を用いて方法論的な品質を評価した。
結果
■ 計28研究が包含基準を満たした。
■ 対照と比較し、プロバイオティクスによる介入はADの発症リスク低下と関連した(OR 0.69; 95%CI 0.58-0.82、P <0.0001)。
■ 出生前および出生後の両方でプロバイオティクスを使用すると、ADの発症率を有意に低下させた(OR 0.67; 95%CI 0.54-0.82)。
■ しかし、出生前もしくは出生後のみに与えられたプロバイオティクス研究に対する分析では、統計的有意性に達しなかった。
結論
■ このメタアナリシスでは、出生前および出生後の両方でのプロバイオティクス内服が乳児および小児におけるADの発症率を減少させることを示した。
■ この知見は、妊娠中にプロバイオティクス治療を開始し、乳幼児期の生後6ヶ月まで継続することは、ADの発症予防に有益であり得ることを示唆している。
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結局、何がわかった?
✅ 出生前および出生後の両方でプロバイオティクスを使用すると、アトピー性皮膚炎の発症率を有意に低下させた(OR 0.67; 95%CI 0.54-0.82)。
✅ しかし、出生前もしくは出生後のみのプロバイオティクスでは、統計的に有意ではならなかった。
「妊娠中」+「出生後」両方でプロバイオティクスを内服すると良いかもしれないが、まだ推奨と言うには、、
■ アレルギー疾患の予防に対しプロバイオティクスに関しては、推奨するにはまだ拙速ではないかという意見が多いように思われます。その内服する菌株、菌数、そして期間などがまだ十分判明していると言えないからです。
■ しかも、「妊娠中」+「出生後」も内服する必要性があるとなると、なかなか難しいかもしれません。
■ ただし、可能な範囲で、例えばヨーグルトを積極的に食べた方がいいですか?という質問に対しては、「してもよさそうですよ」と言ったアドバイスをしていくのは日常診療内ではいいかなあと思っています。
今日のまとめ!
✅ 妊娠中・出生後両方のプロバイオティクス(乳酸菌製剤)内服は、アトピー性皮膚炎の発症リスクを3割程度低下させるものの、妊娠中・出生後それぞれのみでは有意にはならなかった。