以下、論文紹介と解説です。
Sanchez J, et al. Prediction of the Efficacy of Antihistamines in Chronic Spontaneous Urticaria Based on Initial Suppression of the Histamine- Induced Wheal. Journal of investigational allergology & clinical immunology 2016; 26(3): 177-84.
慢性じんましんの患者150人を5種類の抗ヒスタミン薬に、30人をプラセボ投与の1日1回経口投与8週間にランダム化し、ヒスタミンによる皮膚プリックテストの抑制率が慢性蕁麻疹の治療効果を予測するか評価した。
背景
■ 抗ヒスタミン薬は慢性特発性蕁麻疹のファーストラインの治療である。
■ しかし、抗ヒスタミン薬が有益な臨床効果をもたらすかどうかを予測する効果的な方法はない。
目的
■ ヒスタミンで誘発された膨疹と、抗ヒスタミン薬を投与した24時間後の紅斑の測定値の変化が、治療の有効性を予測できるかどうかを評価する。
方法
■ 多施設共同三重盲検ランダム化比較試験を実施した。
■ 患者は、セチリジン、フェキソフェナジン、ビラスチン、デスロラタジン、エバスチンの1日1回経口投与を8週間にわたって受けた。
■ 4週間後、臨床的な有効性を示さなかった患者には、より高用量の抗ヒスタミン薬が投与された。
■ ヒスタミンによる皮膚プリックテストは、試験開始時と、抗ヒスタミン薬の初回投与の24時間後に実施された。
■ 疾患の重症度(蕁麻疹活動スコア[Urticaria Activity Score; UAS])、ヒスタミンによる皮膚プリックテストに対する反応、患者の生活の質への影響(皮膚生活品質指数[Dermatology Life Quality Index;DLQI])を2週間ごとに確認したた。
結果
■ 本試験の研究集団は、150人の患者(1グループあたり30人)と対照30人が含まれた。
■ ヒスタミンによる膨疹の75%以上の抑制は、抗ヒスタミン薬投与の24時間後のより良いUASとDLQIスコアと有意に関連していた。
■ 5種類の抗ヒスタミン薬の安全性と有効性は同等だった。
■ 増量後、疾病の管理率 (DLQIスコア<5)は58.7%から76.7%に増加した。
結論
■ ヒスタミンによる誘発された膨疹の測定は、どの患者が抗ヒスタミン薬に対して良好な臨床反応を示すかを予測することができるが、有効でない患者を同定するための有用性は限られている。
■ これらのデータの臨床的意義は、新規のじんましん治療計画の検索に関連する可能性がある。
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日常診療にはやや使いにくそうではあるが、、
■ 24時間後に再度受診を要するプロトコールなので日常診療には使用しにくそうですが、予測として有用な検討と思います。
■ 個人的にはノギスでこすったときの反応が減っているかどうかを確認することはあります(データはありません)。
■ なお、5種類の抗ヒスタミン薬の有効性に差がなかったことも、この研究の注目するべき点と思います。
今日のまとめ!
✅ 24時間後のヒスタミンによる皮膚プリックテストは、慢性じんましんに対する治療反応性予測に有効かもしれない。