小児の慢性じんましんの有症率と、実際に行われている治療は?

小児の慢性じんましんの有症率と適切な治療はされているかを、欧州5ヶ国で調査した結果をご照会します。

■ 小児の慢性じんましんは決して少なくないと感じます。

■ では、実際にはどれくらいの頻度であるのでしょうか?欧州で大規模に行われた横断研究の結果をご照会します。

 

 

Balp MM, et al. Prevalence and clinical characteristics of chronic spontaneous urticaria in pediatric patients. Pediatr Allergy Immunol 2018; 29:630-6.

欧州の5ヶ国でWebベースの調査を行い、小児の慢性じんましんの頻度・実際に行われている治療を調査した。

背景

■ 小児集団における慢性蕁麻疹(chronic urticaria; CU)および慢性特発性蕁麻疹(chronic spontaneous urticaria; CSU)の有病率および疾患管理に関するデータはほとんどない。

■ この研究では、小児の患者(0~17歳)におけるCUとCSUの罹患率と疾患管理を評価した。

 

方法

■ 欧州の5つの国(英国、ドイツ、イタリア、フランス、スペイン)において、医師ベースのオンライン調査を実施し、対象集団における年間の診断罹患率、疾患特性、治療パターンを評価した。

■ 結果は医師の回答に基づき、記述統計を用いて分析された。

■ 罹患率の推定値は、診断され、診察し、治療されたCU / CSUの小児患者数に基づいて計算され、各国の小児総人口に外挿して算出された。

 

結果

■ 欧州5カ国において、小児患者におけるCUおよびCSUの1年間の診断罹患率は、それぞれ1.38%(95%CI、0.94~1.86)、0.75%(95%CI、0.44~1.08)だった。

血管浮腫は6〜14%の患者で報告された。

CSUのある小児の大部分(40%〜60%)は承認用量のH1抗ヒスタミン薬で治療され、高用量のH1抗ヒスタミン薬により16%〜51%が治療された。

■ 小児CSU患者の約1/3は、承認された容量もしくはより高用量のH1-抗ヒスタミン薬でコントロールができなかった。

■ 他に処方された治療は、経口ステロイド薬(10%-28%)や外用クリーム(15%~26%)だった。

 

結論

■ この研究は、小児集団において成人に匹敵するCSUの有病率を明らかにし、不十分なコントロールである小児CSU患者に対する承認された治療が不十分であることを示唆した。

■ よりベターな推奨ガイドラインにもかかわらず、有害な治療(経口ステロイド)や不十分な治療(クリーム外用)が頻繁に使用されることは強く懸念される。

 

 

結局、何がわかった?

 ✅小児患者における慢性じんましんの1年間の罹患率は1.38%(95%CI、0.94~1.86)、慢性特発性蕁麻疹の1年間の罹患率は、0.75%(95%CI、0.44~1.08)と推定された。

 

 

小児の慢性じんましんは決して少なくなく、適切な治療がされているとはいえないようだ。

■ Webベースの横断研究なので、すこし多めに算出されているかもしれませんが、小児でも慢性じんましんは決して少なくないと言えましょう。

■ 慢性じんましんに関しては、必ずしも適切に治療されていないことは、すでにご紹介いたしました。

■ 予後も、必ずしもいいとは言えないことも、以前ご紹介したとおりです。適切な治療ができるように心がけたいですね。

■ ステロイド内服が必ずしも慢性じんましんに禁忌とはいえませんが、多くは経口ステロイドは不要ではないかとはされており、急性蕁麻疹には経口ステロイド薬のアドオンは不要かもという報告もあります。

 

 

 

今日のまとめ!

 ✅小児の慢性じんましんの1年間の罹患率は1.38%(95%CI、0.94~1.86)、慢性特発性蕁麻疹の1年間の罹患率は、0.75%(95%CI、0.44~1.08)と推定され、経口ステロイド薬(10%-28%)や外用クリーム(15%~26%)も使用されており、不十分な治療がされていると考えられた。

 

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