以下、論文紹介と解説です。

Fetil E, et al. Effects of topical petrolatum and salicylic acid on the erythemogenicity of UVB. Eur J Dermatol 2002; 12:154-6.

健康ボランティア35人に対し、ワセリンの薄い塗布・厚い塗布、ワセリン+サリチル酸(20%)の薄い塗布・厚い塗布による最少紅斑紫外線量の変化を調査した。

背景・目的

■ 光線療法と併用して用いられる種々の外用剤は遮断効果を有するが、in vitro研究とは対照的に,このテーマに関する十分なin vivo研究はなかった。

■ この研究の目的は、乾癬患者に対するUVB療法前に使用される白色ワセリンやサリチル酸の光防御効果を調査することだった。

 

方法

■ ボランティア35例を対象に、最少紅斑紫外線量 (Minimal Erythema Dose; MED) を測定するために光テストを実施し、ワセリンを薄い塗布(0.1 cc/25cm2)もしくは厚い塗布(0.3 cc/25cm2)、ワセリン内のサリチル酸(20%)の薄い塗布もしくは厚い塗布、日焼け止めを用いて試験を実施した。

■ 24時間後、MEDにおける各薬剤の効果を調べた。

 

結果

UVB照射と外用剤の塗布後に検出されたMED値をそれぞれ比較し、それら全ての差が統計的に有意であることを見出した。

■ これらの結果は、ワセリンの薄い塗布・厚い塗布、ワセリン+サリチル酸(20%)の薄い塗布・厚い塗布それぞれでMED値が増加することを示している。

最も高いMED値はワセリン+サリチル酸厚い塗布であり、そしてワセリン+サリチル酸の薄い塗布、ワセリンの厚い塗布、ワセリンの薄い塗布が続いた。

 

結論

■ 光線療法の前にUVBを遮断しうるワセリンやサリチル酸の塗布は推奨されない。

 

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ワセリンが日焼け止めになるという意味ではないものの、日焼けを助長するということはないようだ。

■ 世界保健機構 (WHO) は、紫外線を浴びて24時間後に 皮膚が赤くなり炎症を起こす(日焼けする)最少の紫外線量をMED (Minimal Erythma Dose) と定めています。

■ すなわち、MEDがあがるということは紫外線防御効果があるということになります。

■ もちろんワセリンを日焼け止めとして使う必要性はないでしょうけれども、すくなくとも日焼けをしやすくなるとはいえないだろうと推測できます

 

今日のまとめ!

 ✅ ワセリンやサリチル酸は、小さいながら紫外線防御効果があり、厚塗りのほうがその効果が高い。

 

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