
インスタの食物アレルゲンシリーズ。
■ 食物アレルギーは決して少なくなく、乳児が約10%、3歳児が約5%という報告があります(Ebisawa M, et al. J Allergy Clin Immunol 2010; 125: AB215.)。
■ そして、低年齢では鶏卵・牛乳・小麦がとても多く、年齢が高い場合は魚が問題になることがあります。
食物アレルギーの診療の手引き2017より引用(色つき四角は管理人が追加)。
■ しかし、食物アレルギーに関して、食物アレルゲンごとに特徴があり、なかなか理解が難しいものです。
■ たとえば、「加熱をしたらアレルゲン性が下がる」とはっきりいえるのは卵くらいで、例えば小麦はほぼ下がりません。
■ 卵はゆで卵にするとあきらかにアレルゲン性が下がるのに、小麦はパンにしてもアレルゲン性はほとんど変わらないわけですね。
■ そして、たとえば卵ひとつをとっても多くの蛋白質でつくられていて、その蛋白質ごとに性質が違います。
■ この、食物アレルゲンを形作っている蛋白質のそれぞれを「コンポーネント」といいます。
■ このコンポーネントという蛋白の部品ごとに考えていくことはすでにアレルギー学では常識となっています。
■ そこで、そんなわかりにくい食物ごとのアレルゲン性に関して、インスタで解説を試みています。
■ アレルギーの難しさ、深さの一端を感じていただければ嬉しく思います。
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第1回: 卵アレルギー、どう考えたらいいの?
■ シリーズの第1回目は、最も多い卵です。私は、卵アレルギーに関してこんなことを考えながらお話を聞いています。
■ 卵には10種類以上の蛋白質が含まれていますが、その蛋白質の知識を身に付けるとアレルゲン性への理解もまた大きく深まります。
■ うどんの卵とじ、茶碗蒸し、卵ボーロ、卵焼き、固ゆで卵といった料理形態で、症状がでたりでなかったりを理論的に説明できるようになります。
第2回: 乳アレルギー、どう考えたらいいの? part1
■ 乳アレルゲンは、加熱ではアレルゲン性がほとんど下がりません。
■ 今回は、蛋白質とはなにか?から「加水分解」の知識に踏み込んでいきます。
■ 私は加水分解の話題から、若手の先生へアミノ酸の連なり&蛋白質の関係を説明することが多いです。
第3回:乳アレルギー、どう考えたらいいの? part2
■ 「乳アレルギー、どう考えたらいいの? part1」が理解できると、乳製品におけるアレルゲン性が理解しやすくなってきます。
■ 蛋白量から逆算しやすくなることになります。
■ その個別の食品に対するインスタ。
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第4回: 小麦アレルギー、どう考えたらいいの? part1
■ 卵・乳の続編で、小麦です。
■ 卵・乳で、各々の食物の中に含まれる蛋白質は沢山の種類があって、最も多く含まれている蛋白に着目すると理解しやすくなることをお話ししました。
■ 小麦は「塩溶性」がキーワードで、蛋白質が多種類(40種類以上)含まれているので、だんだん理解が難しくなってきます。
第5回: 小麦アレルギー、どう考えたらいいの? part2
■ 【小麦アレルギー、どう考えたらいいの? part1】で、小麦は塩溶性(塩水に溶ける)蛋白と、不溶性蛋白(=グルテン=グリアジン+グルテニン)に分けられることをお話ししました。
■ すなわち、同じ重量の同種の小麦から作られるならば、お湯でゆがくという調理法をするうどんやそうめんよりパンの方症状が出やすいということになります。
■ また、アレルギーを起こしやすい小麦蛋白の多くが加熱に強いため、焼き固めたとしても、アレルゲン性は下がりません(40種類の蛋白質の中には、下がるものもあるようです)。
■ すなわち、加熱の面から考えると、うどん、そうめん、パン共に、「蛋白量から」考えることになります。
■ その説明をしたインスタ。
第6回: 小麦アレルギー、どう考えたらいいの? part3
■ 【小麦アレルギー、どう考えたらいいの? part1】【小麦アレルギー、どう考えたらいいの? part2】で、①小麦は 加熱ではアレルゲン性は低下しない、② 塩溶性の性質(塩水でゆがくと一部の小麦蛋白が減少する)、③ 強力粉・中力粉・薄力粉で蛋白の含有量が変わる、
といった点が重要であることをお話しました。
■ そして乳などと同様、小麦も表示が紛らわしい食品のひとつです。
■ その紛らわしい食品に関してご紹介をしたインスタ。
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第7回: 魚アレルギー、どう考えたらいいの? part1
■ 今回は魚です。 さらに難易度が上がってきます。
■ 魚は、① 種類が多い、② 水溶性の性質をもつ蛋白が主要なアレルゲン、③ 仮性アレルゲンの性質をもつアミノ酸を含んでいる、という3つがポイントになります。
第8回:魚アレルギー、どう考えたらいいの? part2
■ 魚アレルゲンに関しての最終回。
■ 「魚アレルギー、どう考えたらいいの?part1」で、魚のアレルゲンは水溶性の性質をもつパルブアルブミンが重要であり、魚ごとに少しずつ異なる構造をしていることをお話ししました。
■ ① 青魚にアレルギーが多いと勘違いされやすい理由である「仮性アレルゲン」、② 魚に寄生する「アニサキス」に関する話題を、インスタで説明してみました。
「食物アレルゲンシリーズ」は、食物アレルギーのさわりの部分に少しふれていただき、その奥深さを感じていただくためのシリーズです。
■ これらを見ながら個々の患者さんが自力で考えていただくことを目標にしている訳ではなく、この「食物アレルゲンシリーズ」は、食物アレルギーのさわりの部分に少しふれていただき、その奥深さを感じていただくためのシリーズです。
■ 卵→乳→小麦→魚と、だんだん難しくなってくることがおわかりになるかと思います。
■ まだまだ研究段階のアレルゲンも多いですし、星の数ほどある相手に対して、なかなか難渋していることが実情です。
■ しかし、これらアレルゲンの理解を深めるための研究がすすんできており、それを普段の診療に生かすための情報提供をしている、、そんな医師達がいることも感じていただければ嬉しく思います。
■ なお、イチ小児科医の診療内での考え方ですので、個々の診療に注文をつけるものではありませんのでご留意ください。