以下、論文紹介と解説です。
Cifuentes L. Allergy to honeybee… not only stings. Current opinion in allergy and clinical immunology 2015; 15:364-8.
ミツバチ毒に対するアレルギーを持っていると、ハチミツやキク科花粉に反応するか?
レビューの目的
■ 本レビューの目的は、ミツバチ毒に対するアレルギー患者やキク科アレルギー患者におけるミツバチ製品の摂取リスク、これらの反応に関係する潜在的アレルゲン、診断上の困難の解決における進歩、ミツバチ製品に対するアレルギー反応の管理に関する簡単な概要を提供することである。
最近の知見
■ ミツバチ毒に対するアレルギー患者、キク科アレルギー患者は、ミツバチ製品に対するアレルギーである可能性がある。
■ ミツバチ毒における、ミツバチ製品のアレルゲンがいくつか同定されている。
■ しかし、ミツバチ製品に対するアナフィラキシーはまれである。
■ いくつかの研究は、ミツバチ製品に対するアレルギー反応とキク科のような吸入アレルゲンに明確な関連性を示している。
■ さらに、ミツバチ製品に対するアレルギー反応は、アレルギー性および肺疾患患者における重篤な転帰と関連し、養蜂家における一般的な職業病である。
■ ミツバチのコンポーネントとミツバチ毒には、交差反応性が示唆されている。
■ さらに、いくつかの研究では、ハチミツ、プロポリス、ミツバチ毒に対するアレルギーを同時に有する患者が見出された。
■ それにもかかわらず、ミツバチ製品に対するアレルギーとミツバチ毒との直接的な関係は示されていない。
■ しかしながら、ミツバチ製品とハチ毒の交差反応性は、関連する場合もあるかもしれない。
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ちょっと歯切れが悪いレビューではありますが…
■ サマリーがどっちつかずでわかりにくいですね。
■ そこでさらに文献をさがしてみると、蜂蜜摂取でアレルギー症状のある23人において、ミツバチそのもの成分や蜂蜜に含まれる花粉蛋白に対し、アレルギー症状を起こしうる(Journal of allergy and clinical immunology 1996; 97:65-73.)という報告もありました。
■ しかし、花粉アレルギー患者46人に対し蜂蜜30 gで負荷試験をしても、強いアレルギー症状を起こさなかったという報告もあります(Allergy 1995; 50:844-7.)
■ そこで、ハチミツでアレルギー症状があきらかな患者はミツバチそのものや花粉アレルギーの場合があるけれども、花粉アレルギーがあるからハチミツが危ないというのはいいすぎなのだろうと、今の所考えることにしました。
今日のまとめ!
✅ ハチミツアレルギーは稀ながらあり、ハチの成分そのものやキク科花粉と関連するかもしれない。しかし、キク科花粉アレルギーがあるからハチミツを避けるべきとまではいえないようだ。