以下、論文紹介と解説です。

Patriarca G, et al. Food allergy in children: results of a standardized protocol for oral desensitization. Hepatogastroenterology 1998; 45:52-8.

食物アレルギー14例(牛乳6例、卵5例、魚2例、りんご1例)に対し、経口免疫療法(この時点では”減感作療法”)を実施し、対照群と比較した。

背景/目的

■ 小児における食物アレルギーは、特に食物が小児の成長にとって基本的なものであるために調査に値する未解決の問題である。

■ 減感作療法の可能性を扱った文献中の報告は、散発的で、しばしば矛盾しており、標準化されたプロトコルはまだ利用不可能である。

■ 本報告では、小児における食物アレルギーに対する標準化された経口脱感作プログラムを提案する。

 

方法

食物アレルギー14例(牛乳6例、卵5例、魚2例、りんご1例)に治療を行った。

対照群は、年齢と性がマッチしたアレルギー患者10人(牛乳5例、卵4例、魚1例)から構成され、厳密な除去食療法を受けた

 

結果

■ 14例の治療例中12例(85.7%)がプログラムを完了し、治療へのコンプライアンスは満足のいくものであった。

プログラムを完了した症例の100%で治療が成功し、治療を受けた患者全員が、有害な影響や予防薬の必要性がなく、どの食物も耐性が誘導された

 

結論

■ 提案した標準化経口脱感作治療は、食物アレルギー患者の管理における安全で便利な代替法となる可能性がある。

 

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1998年時点では、食物経口免疫療法は十分認知されていなかったと言えるようだ。

■ 少し気になるのは、デメリットの強調よりもメリットが強調されている印象を持ちます。この後の経口免疫療法の報告では、かならずしも安全性ばかりを強調できるものではありませんでした。

■ あと、あまり関係ないかもしれませんが、元文献のPDFが、『なんでこんなに傾いてかすれてるんだ…』というのが気になります。そして、掲載されたジャーナルも、現在はインパクトファクターが計算できないほど低いジャーナルです。

■ おそらくは、この時点では経口免疫療法はかなり異端の方法だったといえるのではないかと思います。

■ これは、異端だったらどうだという意味ではなく、『科学的に正しい現象は、繰り返し検証され、認知されていくものである』とも言えます。

■ そして、さらに安全性や効果に関して検証されていくべき治療法です。まだまだ、その標準化への道は長いといえましょう。

 

今日のまとめ!

 ✅ 食物経口免疫療法の、対照群との比較試験の初報告をご紹介した。

 

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