以下、論文紹介と解説です。

Senti G, et al. Determinants of efficacy and safety in epicutaneous allergen immunotherapy: summary of three clinical trials. Allergy 2015; 70:707-10.

イネ科花粉による鼻結膜炎患者98人に対し経皮免疫療法を行い、安全性と効果を検討した。

背景

経皮アレルゲン特異的免疫療法(epicutaneous allergen-specific immunotherapy ; EPIT)に関する3つ目の試験の結果を提示し、先行研究と関連しながら考察する。

 

方法

■ この単施設によるプラセボ対照二重盲検第I相/IIa相試験は、イネ科花粉による鼻結膜炎患者98人を対象とした。

■ 2009年の花粉シーズン前に、テープで剥離した皮膚に毎週6つのパッチ(アレルゲンエキス群48人;プラセボ群50人)を投与された。

 

結果

症状改善率の中央値は、アレルゲンによるEPITでは2009年に48%、無治療追跡期間の2010年に40%であったのに対し、プラセボによるEPITではそれぞれ10%および15%だった(P=0.003)

■ アレルゲンによるEPIT後、プラセボによるEPITに比較して結膜アレルギーを起こす反応性は有意に低下し、アレルゲン特異的IgG4は有意に上昇した(P<0.001)。

 

結論

■ 結論として、3番目のEPIT試験は、アレルゲンEPITが花粉症症状を改善できることを見出した。

■ 全体として、治療効果はアレルゲン量によって決まるようだった。

局所的副作用はパッチの投与期間によって決定されるが、全身性アレルギー有害事象のリスクは角層破壊の程度に関連した。

 

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経皮免疫療法の有害事象には、皮膚の安定度も影響するようです。

■ よく考えると当たり前ですが、皮膚の悪化があると経皮免疫療法の有害事象も増えるということです。

■ ちょっと違うテーマかも知れませんが、アトピー性皮膚炎があった児が乳成分が含有された入浴剤を使用して、アナフィラキシーをきたした症例報告を想起しました(三宅 健, 三宅 千. 入浴剤(牛乳成分含有)によってアナフィラキシーを呈した牛乳アレルギーの1例. 小児科 1998; 39:397-400.)。

 

今日のまとめ!

 ✅ 経皮免疫療法は比較的安全な免疫療法ではあるものの、角質層が傷んでいると、全身的な有害事象が起こりやすくなる。

 

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