以下、論文紹介と解説です。

Upton J, Nowak-Wegrzyn A. The impact of baked egg and baked milk diets on IgE-and non-IgE-mediated allergy. Clinical reviews in allergy & immunology 2018; 55:118-38.

ベイクドミルク(Baked milk; BM)やベイクドエッグ(baked egg; BE)による、食物アレルギーの管理は有用かをレビューした。

ベイクドミルク(Baked milk; BM)ベイクドエッグ(baked egg; BE)による食事は、除去食よりも乳や卵アレルギーの管理に使用されている。

■ BMとBEに対する耐性もしくは反応を示す児は、皮膚プリックテストがより小さく、特異的IgE抗体価がより低く、BM耐性の児は好塩基球反応性がより低く、制御性T細胞がより多い可能性がある。

■ ただし、牛乳アレルギーと卵アレルギーの児の大部分は、BMとBEに耐性があり、個々人の反応性は予測できない。

反応性の低下は、アレルゲンの構造変化によるものである。

■ 自宅での段階的導入から臨床的に倫理された用量まで、導入方法に関して公表された方法には大きな違いがある。

■ これらのアプローチにはさまざまなリスクがあり、免疫学的効果も異なるケースがある。

BMに対する反応性は、重症の牛乳アレルギーの予測因子である。

■ したがって、BMやBE導入のための医療的な管理は慎重であるべきである。

■ 焼かれた食物は食事の改善を可能にする。

■ すべてではないが、大部分のBMやBEに耐性の児は、焼かれた食物を食べ続ける。

■ BMとBEを食べることが可能な児の予後は良好であり、今後数年間でアレルギーが軽快する可能性がある。

■ BEによる食事をあたえたマウスモデルは、焼かれた卵がアナフィラキシーに対する臨床的な保護を示し、免疫変化を引き起こす可能性があることを示している。

BMやBEを使用した食事に関するヒトにおける観察研究の多くは、通常のケアコントロール群に比較して、アレルギーの臨床的な改善と免疫変化の好ましい変化を示している

■ ただし、BEによる食事によるランダム化比較試験1件によると、BEによる食事による免疫修飾効果は支持されなかった

■ BEによる免疫療法に対する別の研究は、2018年に完了する予定である。

■ 現在、焼かれた食事でアレルギーを予防するエビデンスはない。

■ 非IgE依存性アレルギー患者の一部が、臨床反応なくBMを摂取できるという最近の研究を考慮すると、BMとBEの将来の役割は、非IgE依存性アレルギー患者の食事を改善させるという点かもしれない。

 

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現状では、ベイクドミルクやベイクドエッグによる免疫療法に関するデータは十分ではない。

■ 個人的には食物経口免疫療法において使う食品に関しては、乳そのもの、卵そのものでの負荷で開始し、摂取量に応じた加工品の解除を優先しています(加工品による免疫療法を否定しているわけではありません)。

■ おなじビスケット、同じ加工品を継続して食べているお子さんに対し、結局は食事の幅を大きく増やすことが困難であるケースが多いです。

■ というのも、蛋白質の重量をいくら測定できたとしても、加工の状況に応じてアレルゲン性の差が大きいのです。

■ アレルゲン性を測ることは困難なのです。

■ もちろん、今後の報告によっては、私自身の方針を変えるかもしれませんが、現状ではこんな感じです(詳細はnoteに譲ります)。

■ さらに今後の研究結果を注視していきたいと思っています。

 

今日のまとめ!

 ✅ ベイクドエッグやベイクドミルクによる食物アレルギーの改善効果は期待はされるものの、ランダム化比較試験ではあきらかな効果が示されていない。

 

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