以下、論文紹介と解説です。
Guan W-j, et al. Clinical Characteristics of Coronavirus Disease 2019 in China. New England Journal of Medicine 2020.
2020年1月29日までの、中国の30省の自治区・自治体の552病院から、検査室で確認されたCovid-19患者1099人に関するデータを抽出し、集中治療室(ICU)への入院、人工換気の使用、死亡例を調査した。
背景
■ 2019年12月に武漢市で新型コロナウイルス感染症(Covid-19)が出現し、中国全土に急速に拡大し、患者の臨床的特徴に関するデータが必要とされている。
方法
■ 2020年1月29日までの、中国の30省の自治区・自治体における552病院から、検査室で確認されたCovid-19患者1099人に関するデータを抽出した。
■ プライマリ複合エンドポイントは、集中治療室(ICU)への入院、人工換気の使用、死亡だった。
結果
■ 患者の年齢の中央値は47歳、女性41.9%だった。
■ プライマリ複合エンドポイントにあたった例は67例(6.1%)で、ICU入室5.0%、侵襲的人工呼吸2.3%、死亡1.4%だった。
■ 野生生物との直接接触歴があったのは患者の1.9%のみだった。
■ 武漢市に住んでいな患者のうち、武漢市の居住者と接触していたのは72.3%、武漢市を訪れたことがあるのは31.3%だった。
■ 最も一般的な症状は発熱(入院時43.8%、入院中88.7%)と咳嗽(67.8%)だった。
■ 下痢はまれだった(3.8%)。
Covid-19は発熱と咳が主な症状で胃腸症状は稀であり、SARS‐CoV、MERS‐CoV、季節性インフルエンザと比較してウイルスの性質の違いがあることを示しているとしていました。
Covid-19においての発熱がみられないケースは、SARS-CoV(1%)やMERS-CoV感染(2%)での発熱がないケースよりも頻度が高いため、サーベイランスする場合に、発熱に焦点を当てている場合、発熱のない患者は見逃される可能性があるとしていました。
■ 潜伏期間の中央値は4日(四分位範囲 2~7日)だった。
■ 入院時、胸部CT撮影によるすりガラス陰影(56.4%)が、最もよく認められた放射線学的所見だった。
■ 重症でない患者877名中157名(17.9%)、重症患者173名中5名(2.9%)において、X線写真やCT異常所見が認めなかった。
■ 入院時に、患者の83.2%にリンパ球減少を認めた。
結論
■ 今回のアウトブレイクの最初の2カ月間に、Covid-19は中国全土に急速に拡大し、様々な重症度の症状を引き起こした。
■ 患者はしばしば発熱せず、放射線学的異常所見を示さないケースも多かった。
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Covid-19確定例のうち、発熱していない例も少なからずあるものの、やはり小児例は極めて少ない。
■ 小児が良ければいいというわけでは決してありませんが、小児科医が診療する場合に小児の予後を掴んでおくことは重要ですので、共有のためにUPします。
■ やはり小児の感染例は少なく(軽症であるために検査をいていない可能性もあります)、重篤化もきわめて稀といえそうです。
■ 一方で、発熱や咳嗽のない例もすくなからずあるようです。
今日のまとめ!
✅ Covid-19の症例集積研究が、NEJMに発表された。