以下、論文紹介と解説です。
Takeuchi S, et al. Serum squamous cell carcinoma antigen (SCCA)-2 correlates with clinical severity of pediatric atopic dermatitis in Ishigaki cohort. J Dermatol Sci 2019; 95:70-5.
石垣島の保育園児1459人中アトピー性皮膚炎患児96人を同定し、SCCA、TARC、ペリオスチンのアトピー性皮膚炎における診断性能を比較した。
背景
■ ADがなくともベースライン値が高いため、thymus and activation-regulated chemokine（TARC）などの現在利用可能なバイオマーカーを用いて小児アトピー性皮膚炎（atopic dermatitis; AD）の重症度を評価することが困難な場合がある。
■ 最近の症例対照研究において、小児および成人ADにおけるsquamous cell carcinoma antigens (SCCA）の有用性が示されている。
■ 特にSCCAは、ADの病因において重要な役割を果たす重要なTh2サイトカインであるIL-4・IL-13によって誘導される。
目的
■ 石垣島コホートでは、湿度の高い亜熱帯気候のため小児ADの罹患率が比較的低く、軽症ADが観察されている。
■ このことは逆に、ADに対しADのない参加者における潜在的なアレルギーの可能性が高いといえるかもしれない。
■ そこで本研究の目的は、石垣島コホートでも小児ADのバイオマーカーとしてSCCA、TARC、ペリオスチンを併用することの可能性を検討することだった。
方法
■ 2009年から2011年までに保育園児1459人を登録し、AD患児96人を同定した。
■ 統計解析としてStudent-t検定、相関分析、ROC分析を行った。
結果
■ 血清SCCA1、SCCA2、ペリオスチン、TARCは、AD患者でない参加者と比較してAD患者ではすべて有意に上昇したが、各年齢群またはサブグループ解析で評価した場合、血清SCCA2のみがAD患者で有意な上昇を示した。
■ 検討されたバイオマーカーの中で、血清SCCA2はまた、臨床的なAD重症度やTARCとの最も良好な相関を示し、ROC分析におけるADの診断性能がもっとも良かった。
論文から引用。SCCA2のROC解析におけるAUC（曲面化面積）は、他のバイオマーカーより高い。
結論
■ SCCA2は石垣島コホートにおける小児ADの有力なバイオマーカーだった。
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SCCA2に関して、保険適用になることが期待されています。
■ TARCが保険適用になって10年を超え、かなり普段の診療が楽になったことが実感されますが、使用できるバイオマーカーが増えることは歓迎されることです。
■ 適切な治療を、より進めやすくなるからです。
■ とくに、潜在的に残る炎症を評価する方法として、SCCA2は今後注目されてくると思われます。
今日のまとめ！
✅ 小児において、SCCA2はアトピー性皮膚炎の診断性能として優れている。
