以下、論文紹介と解説です。

Girou E, et al. Efficacy of handrubbing with alcohol based solution versus standard handwashing with antiseptic soap: randomised clinical trial. Bmj 2002; 325:362.

医療従事者23人を、アルコールによる手指衛生と殺菌性石けんによる手洗いにランダム化し、手の細菌の減少率を比較した。

目的

■ 日常的な患者ケアを行う際の手の汚染を減らすために、アルコールベースの溶液を使用した手指衛生と、従来の殺菌石鹸を使用した手洗いの効果を比較する。

 

試験デザイン

■ 毎日2~3時間の看護セッション中におけるランダム化比較試験。

 

セッティング

■ フランスの大学病院の3箇所の集中治療室。

 

参加者

■ 医療従事者23人。

 

介入方法

■ 患者をケアをする前後に手指衛生管理が必要とされたケースにおいて、アルコールベースの溶液による手洗い12人と殺菌石鹸による手洗い11人にランダム化した。

■ 手指衛生処置の前後に、利き手の指先と手のひらで採取して細菌数を盲検で定量化した。

 

主な転帰尺度

■ 手指汚染をの細菌減少。

 

結果

アルコールによる手指衛生は、細菌汚染の減少率の中央値が手洗いよりも有意に高く(83% vs 58%; P=0.012)、減少率の差の中央値は26%(95%信頼区間8%~44%)だった。

論文より引用。アルコールベースの手指衛生のほうが、細菌の除去率が良い。

■ 手指衛生の実施時間の中央値は各群とも 30 秒だった。

 

結論

■ 日常的な患者のケアにおいては、アルコールベースの溶液を使用した手指衛生は、殺菌性石けんを使用した手洗いよりも手指の汚染を減らすために非常に効果的である。

 

スポンサーリンク(記事は下に続きます)



 

セッティングにより異なる可能性はあるものの、普段の手指衛生としては、殺菌性石けんによる手洗いよりもアルコールによる手指衛生のほうが効率的のようだ。

■ もちろん、アルコールベースの手指衛生がすべてに良いという意味ではなく、たとえば体液がついていたり、トイレのあとなどは洗浄そのものが重要になりますので手洗いも必要になります。

■ ただ、普段の手指衛生としてはアルコールベースも取り入れていくとよいでしょう。

■ また、アルコールベースのほうが手荒れも少ないという報告もあります。

■ もう少し、アルコールベースの手指衛生製品が入手しやすくなるといいのですけどね…

 

created by Rinker
内外出版社
¥1,650 (2024/04/27 06:28:38時点 Amazon調べ-詳細)

今日のまとめ!

 ✅ 普段の手指衛生としては、殺菌性石けんによる手洗いよりも、アルコールによる手指衛生のほうが効率的のようだ。

このブログは、私の普段の勉強の備忘録やメモであり、基本的に医療者向けです。

知識の共有を目的に発表しておりますが、追加して述べる管理人の意見はあくまでも個人としての私見です。所属するいかなる団体の立場も代表するものではありません。予めご了承いただきたく存じます。

このブログの『リンク』は構いません。しかし、文章やアイデアを盗用・剽窃・不適切な引用したり、許可なくメディア(動画を含む)に寄稿することはご遠慮ください。クローズドな場での勉強会などに使用していただくことは構いません。
Instagram:2ヶ月で10000フォロワーを超えました!!!

Xでフォローしよう