早産児に対する保湿剤(エモリエント)は、感染症を減らす?
■ 早産児に対する保湿剤の効果に関しては、現状では結果がはっきりしていません。
■ 早産児に対して保湿剤を塗る理由はアトピー性皮膚炎の発症を減らすことよりも、もともとは、皮膚バリア機能を改善させることで『感染症を減らし』『死亡率を下げる』ことが目的だったようです。
■ 2004年までのコクランレビューでは、むしろ感染症を増やすかもしれないという結果でした(Cochrane Database Syst Rev 2004:Cd001150.)が、その後、研究結果が増えて方向が変わってきました。
■ ひとつは、医療セッティングによっても変わるのではないか…という考えです。
■ 低・中所得国における保湿剤(ここではエモリエント≒ワセリンのような保湿成分がすくないもの)の効果をみたメタアナリシスをご紹介します。
この論文でわかったことを、ざっくりまとめると?
2012 年 12 月までに発表された、低・中所得国における早産児に対し保湿剤(エモリエント)を使用した効果(死亡・感染・体重増加)をみた研究のシステマティックレビューを実施したところ、
✅ 早産児における保湿剤外用療法は、新生児の死亡率を27%(RR 0.73; 95%CI 0.56~0.94)、院内感染を50%(RR 0.50; 95%CI 0.36~0.71)有意に減少させた。
✅ 体重や体重増加を有意に改善したが、身長や頭囲に対する効果は有意ではなかった。
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