以下、論文紹介と解説です。

Sert A, et al. Clinical characteristics and causes of chest pain in 380 children referred to a paediatric cardiology unit. Cardiol Young 2013; 23:361-7.

小児循環器科に紹介された、胸痛のある小児380人の臨床的特徴と原因を検討した。

背景

■ 胸痛は、小児科、小児循環器科、小児救急科を受診する際によくみられる訴えである。

■ 本研究では、小児循環器科に紹介された小児の胸痛の臨床的特徴と原因をプロスペクティブに評価した。

 

方法

■ 計380人の小児を対象とした。

■ 関連する症状、病歴、家族歴を評価した。

■ 全患者が身体診察を受けた。

■ 全患者の全血球数、過体重・肥満、心血管系疾患の家族歴のある小児の脂質検査、全患者の心電図、胸部X線検査、心臓超音波検査を実施した。

■ 必要に応じて、24 時間心電図モニタリングや運動負荷試験を実施した。

■ 心理学的所見のある患者は、小児精神科医による評価を行った。

 

結果

胸痛の原因は、筋骨格系疾患(37.1%)、特発性胸痛(29.2%)、precordial catch症候群などのさまざまな疾患(15%)が多かった。

管理人注

Precordial catch症候群は、小児でとても多い、良性の胸痛の原因疾患です。

プレコーディアルキャッチ症状群

■ 心疾患による胸痛は380例中1例(0.3%)のみで、心電図は380例中4例(1.1%)に異常が認められた。

■ 脂質異常症は380例中9例(2.3%)に認められた。

 

結論

■ 小児循環器科への紹介はプライマリケアや救急科の医師には安心感を与えるかもしれないが、小児胸痛における心臓の要因は非常に稀であることを示している。

■ 多くの患者は慎重な病歴と身体診察のみで十分に評価されていたと考えられる。

■ したがって,小児の胸痛のルーチン評価において,心臓超音波検査を用いる必要はないのではないかと考えられる。

 

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小児の胸痛では、心臓が痛みの原因になっていることは極めて少ない。

■ 成人とはことなり、小児では心血管疾患(狭心症など)はきわめて少ないものです。

■ 小児科医としては基礎的な内容かもしれませんが、Precordial catch症候群はおもったほど知られていないので、後進の先生にはたまにレクチャーすることがあります。

 

 

今日のまとめ!

 ✅ 小児の胸痛では、心臓が痛みの原因になっていることは極めて少なく、筋肉や骨から、もしくは原因不明が多く、それ以外ではPrecordial catch症候群が少なくない。

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