以下、論文紹介と解説です。

Rahmani E, et al. Effect of vitamin D and omega-3 on nocturnal enuresis of 7-15-year-old children. J Pediatr Urol 2018; 14:257.e1-.e6.

7~15 歳の夜尿のある小児をA群(ビタミンD 1000IU/日)、B群(オメガ3 1000mg/日)、C群(オメガ3 1000mg/日+ビタミンD 1000IU/日)、D群(プラセボ)にランダム化し、夜尿に対する効果を比較した。

イントロダクション

■ 夜尿は、小児における一般的な膀胱合併症である。

■ 最近の研究では、ビタミンDおよびオメガ3の不足と夜尿との関連が指摘されている。

 

目的

■ これは、7~15 歳の小児における夜尿症に対するビタミン D、オメガ 3 サプリメント、それらの併用の効果を評価するための 2 ヵ月間の無作為化プラセボ対照二重盲検試験である。

 

参加者と方法

■ Siraz(イラン)にあるImam Reza Clinicの小児科に紹介された小児から参加者(夜尿の小児180人)を選択した。

■ 人口統計学的情報と身体測定を行った。

■ 空腹時の血液と尿検体を採取し、介入の前後で血清ビタミンDと尿中プロスタグランジンE2を測定した。

■ 夜尿のある児は、無作為に4群に割り付けられた。

■ すなわちA群(ビタミンD 1000IU/日)、B群(オメガ3 1000mg/日)、C群(オメガ3 1000mg/日+ビタミンD 1000IU/日)、D群(プラセボ)である。

 

結果

■ 試験開始時の人口統計学的と身体測定に関しては、研究群間に有意差はなかった。

■ それぞれの群を比較した結果、A群では44.4%、B群では28.2%、C群では45%の参加者が夜尿症が改善した(P = 0.03)

論文より引用。プラセボにくらべ、ビタミンDやオメガ3の内服群がより夜尿が改善している。

■ 血清25(OH)DはA群で有意に増加したが、尿中プロスタグランジンE2は内服に反応して有意に減少しなかった。

■ A群とB群の両方の内服が有効であることが認められたが,併用介入では単独より高まることはなかった。

 

結論

■ ビタミンDとオメガ3を内服することで、夜尿症の7~15歳児において、夜尿回数を減らすことができることが示された。

 

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標準療法でもう一息の効果の場合に、ビタミンDを考慮してもいいのかも…しれません。

■ 先行研究で、夜尿とビタミンDの血中濃度の関連があることが報告されているようです(PLoS One 2014; 9:e99316.)

■ それにしてもRCTで結果がでているとはいえ、ビタミンDが夜尿に有効…今ひとつ機序がわかりません。ビタミンDの低下で眠気が起こりやすく夜間の睡眠障害がひきおこされて夜尿につながるのでは…といった考察があるようです。

■ デスモプレシンやアラーム療法といった標準療法を優先するにしても、それほど害はなさそうですし追加で考えてもいいのかもしれません。

 

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今日のまとめ!

 ✅ 夜尿症に対し、ビタミンDが有効というRCTがある。ただし、標準療法が優先なのではないかと思われる。

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