以下、論文紹介と解説です。
Walker S, et al. Seasonal allergic rhinitis is associated with a detrimental effect on examination performance in United Kingdom teenagers: case-control study. Journal of Allergy and Clinical Immunology 2007; 120:381-7.
試験を受験する学生1834人(15~17歳; 女子50%)のうち、主要3教科(数学、英語、理科)のいずれか1つ以上の成績が低下した者を症例群とし、アレルギー性鼻炎や抗ヒスタミン薬の影響を確認した。
背景
■ 季節性アレルギー性鼻炎は世界的に見てもよく見られ、小児の学習能力を損なう症状が示されている。
■ そして小児の試験はイネ科花粉の最盛期である夏に行われることが多い。
目的
■ 季節性アレルギー性鼻炎が英国の10代の青少年の試験の成績に悪影響を与えるかどうかを調査した。
方法
■ 試験を受験する学生1834人(15~17歳; 女子50%)を対象とした症例対照解析である。
■ 実習(冬)と期末試験(夏)の間に、主要3教科(数学、英語、理科)のいずれか1つ以上の成績が低下した者を症例とし、成績が変化なしまたは改善した者を対照とした。
■ 試験直前の試験日に記録されたアレルギー性鼻炎の症状、臨床医が診断したアレルギー性鼻炎、アレルギー性鼻炎に関連した薬剤使用との関連を、多段階回帰モデルを用いて評価した。
結果
■ 学生の38%~43%が、試験中のいずれか1日に季節性アレルギー性鼻炎の症状を報告した。
■ 症例群は662人(学生の36%)、対照者は1172人だった。
■ 調整後、症例群は対照群と比較して、検査期間中にアレルギー性鼻炎の症状があり(オッズ比[OR] 1.4;95%CI、1.1-1.8;P = 0.002)、アレルギー性鼻炎薬を服用したことがあり(OR 1.4;95%CI 1.1-1.7;P = 0.01)、鎮静作用のある抗ヒスタミン薬を服用したことがある(OR 1.7;95%CI、1.1-2.8;P = 0.03)可能性が有意に高かった。
結論
■ 現在症状のあるアレルギー性鼻炎と鼻炎薬剤の使用は、夏期の試験で予期せず成績を落とすリスクが有意煮上がること関連している。
臨床的な意義
■ 症状のあるアレルギー性鼻炎と検査成績の悪化との関連性が初めて示され、臨床に大きな意味を持つ。
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アレルギー性鼻炎は、成績をさげ、鎮静性抗ヒスタミン薬はさらに成績を下げる。
■ 症例対照研究なのでエビデンスレベルは高くありませんが、アレルギー性鼻炎そのものや、鎮静性抗ヒスタミン薬が成績をさげる可能性があるといえます。
■ この研究では、多くの学生がジフェンヒドラミンという鎮静性抗ヒスタミン薬を内服していました。
■ アレルギー性鼻炎があると労働生産性がさがり、治療を行うと改善することが示されていますし、やはり『非鎮静性』を選ぶべきでしょう。
今日のまとめ!
✅ アレルギー性鼻炎があると成績が下がり、さらに鎮静性抗ヒスタミン薬を内服しているとさらに成績が下る可能性がある。