以下、論文紹介と解説です。

Taniguchi H, et al. Natural History of Allergy to Hen’s Egg: A Prospective Study in Children Aged 6 to 12 Years. International Archives of Allergy and Immunology 2022; 183:14-24.

6歳時に鶏卵アレルギーと確定診断された137人に関し、12歳になるまで鶏卵アレルギーの経過を前向きに検討した。

背景

■ 6歳未満の鶏卵(hen’s egg; HE)アレルギー(hen’s egg allergy; HEA)の自然経過に関する報告は限られている。

■ そこで、6-12歳児におけるHEAの自然経過と耐性獲得に影響を与える要因を調査した。

 

方法

■ 当院のデータベースを用いて、6歳時にHEに対する即時型反応と確定診断された137名の患者を登録し、患者が12歳になるまでHEAの自然経過を前向きに検討した。

■ 耐性とは、加熱したHEの半個または1個を摂取する経口食物負荷試験をクリアすること、または加熱したHEを症状なく自由に摂取できることと定義された。

■ 経口免疫療法に登録された30人(21.9%)および追跡調査を中止した21名(15.3%)を脱落者とした。

■ 耐性率の評価にはKaplan-Meier推定を用いた。

 

結果

■ 137人中55人(40.1%)がHEのアナフィラキシー歴があり、61人(44.5%)が12歳までにHEに対する耐性を獲得し、25人(18.2%)がHEの完全除去または部分除去を継続した。

■ 7歳、9歳、12歳までの推定耐性獲得率は、それぞれ14.6%、40.8%、60.5%だった。

論文より引用。積極的な負荷試験などを考慮した上で、6歳から12歳までに6割程度、半個~1個の加熱全卵を摂取できるようになった。

■ 6歳以前にHEのアナフィラキシー歴があること、6歳までに少量の加熱HEにアレルギー反応があること、同年齢でのオボムコイド特異的IgE抗体価が高いことは、HEAの持続と関連していた。

論文より引用。6歳時点の卵白特異的IgE抗体価・オボムコイド特異的IgE抗体価により、予後に差があることが示された。

 

 

 

結論

■ 本研究は、幼児期以降のHEAの自然な経過について重要な洞察を与え、HE耐性の獲得は研究期間中継続することを示した。

6歳まで鶏卵アレルギーを持ち越したとしても、治療効果を期待することはできる。しかし、それまでに少しでも改善させておくこともまた肝要とも思われる。

■ 6歳まで持ち越した鶏卵アレルギーであっても、ある程度改善する可能性があるといえます。

■ ただし、あくまで、この結果は経口免疫療法を加味しての結果です。

■ ですので、ただ経過をみるだけでは難しいと予想されますし、また、中断した場合は再燃する可能性があることも考慮する必要性があります。

■ また、その軽快率も、6歳までに微量でも摂取できるようになっているか、もしくは特異的IgE抗体価をさげておく必要性があるとも言えるでしょう。

 

 

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