煎りピーナッツと茹でピーナッツの組み合わせによる免疫療法とは?

標準化が進もうとしているピーナッツの免疫療法ではあるものの、リスクはまだ払拭することはできていない。

■ ピーナッツアレルギーは欧米諸国では小児の1~3%が罹患しており、これまで除去食が治療の中心になっています。

■ 一方で、経口免疫療法は徐々に標準治療へ近づこうとしています。
■ 2020年に、Palforzia®がピーナッツアレルギーの経口免疫療法として米国で初めて承認され、状況がかわりつつあります。

■ しかし、Palforziaにはアナフィラキシーのリスクと頻度がいまだに低くなく、より安全性を考慮する必要性があります。

■ 現在も、安全性と効果、そのバランスをどのようにとっていくのか、さまざまな方策が検討されています。
■ そのうち、ピーナッツにおける『ゆでピーナッツからローストピーナッツに切り替えていく』という方法が報告されました。

Grzeskowiak LE, Tao B, Aliakbari K, Chegeni N, Morris S, Chataway T. Oral immunotherapy using boiled peanuts for treating peanut allergy: An open-label, single-arm trial. Clinical & Experimental Allergy 2023; 53:327-36.

ピーナッツアレルギーの患児70人を、長時間茹でたピーナッツの漸増期→短時間ゆでたピーナッツ→ローストピーナッツの漸増期に段階的に負荷をする経口免疫療法を52週間にわたって実施した。

背景

■ ピーナッツアレルギーは、欧米諸国では小児の1~3%に発症するといわれている。
■ ピーナッツを茹でると低アレルゲン性となることが証明されており、ピーナッツアレルギー患者に対して、まず茹でピーナッツに耐性を持たせることで、より安全な減感作を誘導できる可能性がある。
■ そこで、小児のピーナッツアレルギーを治療するために、茹でピーナッツの後にローストピーナッツを順次投与する経口免疫療法(OIT)の有効性と安全性を評価することを目的とした。

方法

■ この非盲検第2相単群臨床試験では、ピーナッツアレルギーの病歴があり、スクリーニングでピーナッツ皮膚プリックテスト≧8mmおよび/またはピーナッツ特異的IgE≧15kU/Lが陽性の6~18歳の小児に、12時間茹でたピーナッツを12週間、2時間茹でたピーナッツ20週間、ローストピーナッツを20週間、ローストピーナッツ毎日12粒の維持量を目標に順次漸増を行うOITを実施した。

■ 主要評価項目は、目標維持量に達した6~8週間後に、ローストピーナッツ12粒(ピーナッツ12g、ピーナッツタンパク質約3000mg)を分割負荷する非盲検経口食物負荷試験にクリアした児の率。
■ 副次的評価項目は、治療に関連する有害事象およびアレルギー症状治療薬の使用状況であった。

結果

■ 2017年7月1日から2018年6月22日に、70人の参加者が登録され、OITを開始した。
■ 70人中56人(80%)の参加者で脱感作の誘導に成功した。

■ 治療関連の有害事象による脱落はまれだった(n = 3)。
■ 治療関連の有害事象は43人(61%)で報告され、これはOIT1000回投与あたり6.58件の割合に相当する。
■ 治療関連の有害事象に関連する薬剤の使用は稀で、レスキュー薬としてのエピネフリンの使用は3人(4%)の参加者から報告された(1000回投与あたり0.05回)。

結論

■ 茹でピーナッツの後にローストピーナッツを使用する経口免疫療法は、脱感作に効果的であり、良好な安全性プロファイルと関連する実用的なアプローチであると考えられる。

 

 

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