感染対策が緩和されたオーストラリアでは、さまざまな感染症が増えた

感染対策が緩和され、急速に感染症が増えている。

■ 2023年5月8日に新型コロナが第5類感染症に感染症法上の位置づけが変更されました。

■ すなわち、『個人の選択を尊重し、国民の皆様の自主的な取組をベースとした対応に』変わったわけですが、現実的には感染症対策そのものがかなり変わったといえるでしょう。

■ KID先生が6月4日までのデータを示されていました。

■ このような感染拡大は、世界各地でおこっています。

■ 最近の報告を共有します。

 

Riepl A, Straßmayr L, Voitl P, Ehlmaier P, Voitl JJM, Langer K, Kuzio U, Mühl-Riegler A, Mühl B, Diesner-Treiber SC. The surge of RSV and other respiratory viruses among children during the second COVID-19 pandemic winter season. Front Pediatr. 2023 Feb 1;11:1112150.

2021年9月から2022年3月末まで、ウィーン最大の小児科センターに急性呼吸器感染症で入院した小児678人(生後0~36カ月)を登録し、23種類の呼吸器病原体の検出状況を確認した。

背景

■ Covid-19の最初の冬季シーズンにおける非薬物対策は、特に乳幼児の呼吸器感染症の原因となるRSV、インフルエンザ、メタニューモウイルスなどの呼吸器病原体に大きな影響を与えた。
■ この縦断的前向き研究は、より厳密でなくなった対策が、2回目の冬季シーズンの病原体プロファイルにどのような影響を与えるかを明らかにすることを目的とした。

方法

■ 2021年9月から2022年3月末まで、ウィーン最大の小児科センターに急性呼吸器感染症で入院した小児678人(生後0~36カ月)を本研究に登録した。
■ 鼻腔スワブを行い、23種類の呼吸器病原体についてマルチプレックスPCRで検査し、臨床的特徴と治療を記録し、ロックダウンが病原体蔓延に及ぼす影響を解析した。

結果

■ 小児678人の815塗抹標本から、最も多い病原体はライノ/エンテロウイルス(38.5%)、RSV(26.7%)、メタニューモウイルス(7.2%)であった。
■ ロックダウンは9月のRSVの早期出現を阻止したが[RR 0.367; CI  0.184-0.767;  p = 0.003]、他の病原体への影響は認められなかった。
■ メタニューモウイルスは1月に流行がはじまった。
■ インフルエンザは散発的にしか検出されなかった。
■ RSVによる入院率は前のシーズンより有意に高かった[OR 4.089;  95%CI 1.414-11.827; p-adj = 0.05].

結論

■ より厳格でない非薬物対策により、0~36カ月児のRSVやメタニューモウイルスなどのウイルス性感染症で再び受診するようになった。
■ RSVは、入院率が高く、流行が非常に早かったが、ロックダウンにより流行が中断された。

 

 

論文の背景とその解説・管理人の感想は、noteメンバーシップでまとめました。

 

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