
ゴマアレルギーは少なくないものの、検査も、治療も研究は不十分。
■ ゴマアレルギーは地域によって、たとえば中東、メキシコなどでは多いとされています。
■ しかし、経口免疫療法を進めることができるかどうかも、十分なデータがあるとは言えません。
■ そこで最近、イスラエルのテルアビブ大学からゴマの免疫療法に関する報告がありましたので共有します。
Nachshon L, Goldberg MR, Levy MB, Appel MY, Epstein-Rigbi N, Lidholm J, et al. Efficacy and Safety of Sesame Oral Immunotherapy-A Real-World, Single-Center Study. J Allergy Clin Immunol Pract 2019; 7:2775-81.e2.
経口食物チャレンジで陽性と診断された4歳以上のゴマアレルギー患者60名に対し、ゴマの経口免疫療法をおこなった。
背景
■ 欧米の食文化におけるゴマの使用量は増加しており、ゴマアレルギー患者のゴマ回避はより困難である。
目的
■ ゴマ経口免疫療法(OIT)の有効性と安全性を明らかにすることである。
方法
■ 2014年11月から2017年11月の間に、経口食物チャレンジで陽性と診断された4歳以上のゴマアレルギー患者60名をOITに登録した。
■ 経口食物チャレンジ陽性や最近の即時型反応に基づき、皮膚プリックテストや特異的IgEで陽性であったゴマアレルギー患者15人は、ゴマを除去し続け、観察対照とした。
■ 免疫学的パラメータは、研究の開始時と終了時に一部の患者(OIT、n=16;対照、n=11)で測定された。
■ 完全に脱感作された患者は、ゴマタンパク質1200mgを毎日摂取し、6ヵ月以上経過した後、4000mgの摂取に挑戦した。
結果
■ OIT治療を受けた53人の患者(88.4%)がゴマに対して完全に脱感作されたのに対し、対照群では0%だった。
■ さらに、60人中57人の患者(95%)が1000mg以上のタンパク質に脱感作された。
■ 反応は、病院での投与時に4.7%、自宅での投与時に1.9%で発現した。
■ エピネフリンを用いた治療が必要だった反応は、院内投与で16.7%、自宅投与で8.3%の患者に見られた。
■ rSes i 1 IgE(P = 0.007)および好塩基球反応性(P = 0.001)は有意に減少し、ゴマおよびrSes i 1 IgG4(P = 0.001)は増加した。
■ これはOIT治療を受けた患者群で観察され、対照群では確認されなかった。
■ 4000mgで脱感作された47人の患者は、維持期間が6ヵ月以上経過した後に評価された。
■ 維持期間中には軽度の反応のみが報告され、全員が4000mgの負荷試験に成功した。
結論
■ ゴマOITは、アレルギー患者にとってのゴマ回避の効果的な代替手段である。
■ しかし、有害事象のリスクがあるため、専門の施設での実施が推奨される。
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