Zeiger RS, et al. Blood eosinophil count and outcomes in severe uncontrolled asthma: a prospective study. The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice 2017; 5:144-53. e8.
喘息発作が起こりやすさを予想できるか?
■ 喘息のコントロールが改善される一方で、重症喘息がクローズアップされるようになりました。
ステロイド薬を内服しなければならない喘息発作を起こす要因はなにか?
■ そのような中で、喘息発作のリスクを評価する必要性がでてきており、バイオマーカーに関する報告をいくつかご紹介してきました。例えば、喀痰好酸球数や呼気一酸化窒素(FENO)が喘息発作のリスクを予想するという報告を最近御紹介いたしました。
■ しかし、喀痰の採取は必ずしも簡単ではありません。血中好酸球であれば日常診療にも使用しやすいのではないでしょうか?
重症喘息261人の血液検査結果を前向きに調査し、1年後の喘息の増悪とコストの関係を調査した。
背景
■ 重症でコントロールできない喘息(Severe uncontrolled asthma;SUA)は、喘息発作の増加と関連する。
■ 好酸球数高値がこの負担に関係しているかどうかは不確実である。
目的
■ SUA患者の血液好酸球数と喘息増悪、利用法、コストとの関係を明らかにする。
方法
■ 研究第Iフェーズにおいて、持続性喘息(12歳以上)患者は、以下の条件によりSUAと特定した。
(1)2回以上の喘息増悪。
(2) 中用量から高用量の吸入ステロイド薬(ICS)単独療法に合わせてアドオンとしての長時間作動性β刺激薬を6容器以上を処方された。
(3)ICSでないコントローラを3容器以上処方された。
■ SUAとされた541人の患者のうち、前向きの第2フェーズのフォローアップ調査に参加した患者261人(48.2%)が、好酸球数および他のアトピー性バイオマーカーを決定するための血液検査(index date)を実施された。
■ 1年後の喘息増悪と直接コストに対する血液好酸球のカットオフポイントの関係は、多変量回帰によって決定された。
結果
■ カットオフポイントとして、好酸球数400以上/mm3群は、好酸球数 400未満/mm3と比較し、2回以上の喘息増悪(リスク比 1.55; 95%CI(1.02-2.35); P=.04)や、喘息救急外来受診もしくは入院(リスク比 2.29; 95%CI(1.16-4.55); P=.02)であり、調整されえた解析において危険因子と特定された。
■ 好酸球数のカットオフポイントが150/mm3もしくは300/mm3では、この関係は認められなかった。
論文から引用。
好酸球数400/mm3で二群に層別化して行った単変量解析。2回以上の喘息増悪や、喘息救急外来受診もしくは入院リスクが有意に異なる。
論文から引用。
重症でコントロール不十分な喘息(SUA)における、好酸球数 400/mm3 以上vs 400/mm3未満のカットオフポイントで、多変量で調整して実施した回帰分析。
パネルA:喘息増悪率; パネルB:1回の喘息増悪; パネルC:2回の喘息増悪; パネルD:1回の喘息救急外来[ED]受診または入院)。
■ しかし、喘息増悪率または患者ごとの直接の喘息コストには有意な影響がなかった(202ドル; 95%CI -286 to 691)。
結論
■ SUA患者において、好酸球数高値は、直接的な費用には影響しなかったが、2回以上の喘息増悪または喘息救急外来受診または入院における独立した危険因子であった。
■ ただし、解析力は限られており、おそらくLimitationとなる。
結局、何がわかった?
✅12歳以上の持続性喘息患者において、好酸球数400以上/mm3群であると、その後1年間の2回以上の喘息増悪リスクが1.55倍、喘息救急外来受診もしくは入院リスクが2.29倍になる。
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血中好酸球は、喘息発作のリスクを予測する。
■ 血中好酸球数が喘息発作リスク因子になるということが分かりました。こういった患者さんにおいてはヌーカラが特に有効と言えるかもしれません。
ヌーカラは、好酸球性重症喘息による入院率を約半分にする: メタアナリシス
■ 好酸球や呼気一酸化窒素(FENO)に限らず、バイオマーカーの研究はさらにすすむことでしょう。
生物学的製剤による難治性喘息治療のパラダイムシフト~バイオマーカー(第2回/全3回)
今日のまとめ!
✅血中好酸球数400以上/mm3は、喘息発作の増悪を予測する。