1~4歳のピーナッツアレルギー児におけるピーナッツ舌下免疫療法の結果は?

アレルゲン免疫療法は、さまざまなルートが想定されており、舌下免疫療法もそのうちのひとつ。

■ ピーナッツアレルギーは、日本でも少なくはなく、アナフィラキシーを起こすこともあります。
■ そして、経口免疫療法をはじめ、さまざまなルートが想定されています。

■ そのようななか、最近、1歳から4歳の児に対するピーナッツ舌下免疫療法による免疫療法の治療効果が報告されており、示唆に富んでいましたので共有します。

 

※低年齢の子どもに対するピーナッツは、誤嚥のリスクがあります。今回紹介した報告はそのようなリスクを減らした方法で舌下免疫療法を行っています。自己判断でピーナッツを摂取させないようによろしくお願いいたします。

Kim EH, Bird JA, Keet CA, Virkud YV, Herlihy L, Ye P, et al. Desensitization and remission after peanut sublingual immunotherapy in 1- to 4-year-old peanut-allergic children: A randomized, placebo-controlled trial. Journal of Allergy and Clinical Immunology 2023.

1~4歳のピーナッツアレルギーを持つ50人に対し、ピーナッツ4mgの舌下免疫療法(SLIT)もしくはプラセボにランダム化し、36ヶ月間介入した。

背景

■ ピーナッツ舌下免疫療法(SLIT)に関する先行研究で、治療開始年齢が若いほど有利である可能性が示された。

目的

■ 1~4歳の児童におけるピーナッツアレルギーに対するSLITの安全性及び有効性を検討した。

方法

■ ピーナッツアレルギーを持つ1~4歳の児童を対象に、4mgのピーナッツSLIT群とプラセボ群に無作為割り付けを行った。

■ 投与開始から36か月後、二重盲検プラセボ対照食物チャレンジ(DBPCFC)を用いて脱感作を評価した。

■ 少なくとも443mgのピーナッツ蛋白に対して脱感作された参加者は、3か月間治療を中断したあとDBPCFCにより寛解を評価した。
■ バイオマーカーはベースライン時および治療期間を通じて縦断的に測定された。

結果

■ 2施設で計50名(ピーナッツSLIT群25名、プラセボ群25名)、年齢の中央値2.4歳で登録された。
■ プライマリエンドポイントである脱感作は、治療群は、プラセボ群と比較して累積耐用量の中央値が有意に高かった(4443mg対143mg)。
■ 36か月目のDBPCFCをクリアする可能性が治療群では高く(60%対0%)、寛解を示す可能性も高かった(48%対0%)。

■ 脱感作及び寛解の割合は、1~2歳児で最も高く、次いで2~3歳児、3~4歳児の順だった。

■ ピーナッツ皮膚プリックテスト、ピーナッツ特異的IgG4、ピーナッツ特異的IgG4/IgE比の縦断的変化は、ピーナッツSLIT群の参加者に見られたが、プラセボ群の参加者には見られなかった。

■ 口腔咽頭のかゆみは、ピーナッツSLIT群の参加者においてプラセボ群の参加者よりも多く報告された。

■ 皮膚、胃腸、上気道、下気道および多系統にわたる有害事象は、治療群間で差異はなかった。

結論

■ ピーナッツSLITは1~4歳児において、安全に減感作および寛解を誘導することが可能であり、開始年齢が低いほど治療成績が向上することが確認された。

 

 

※ 論文の背景とその解説・管理人の感想は、noteメンバーシップでまとめました。

 

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