牛乳アレルギーのある乳児に対する低アレルゲンミルク(高度加水分解乳)は、身長・体重増加を改善させるかもしれない

牛乳アレルギーの治療としての高度加水分解ミルクの役割

■ 牛乳アレルギーは、日本において第2位の頻度を占める食物アレルギーです。

■ このアレルギーの治療には、アレルゲンを含まない食品への置き換えが基本となります。そのため、低アレルゲン性のミルクの提供が必要です。
■ 低アレルゲンミルクには多くの種類がありますが、その中でも特に高度加水分解ミルクが第一選択とされています。
■ 高度加水分解ミルクは、重篤な牛乳アレルギーを持つ患者でも通常は受け入れられると想定されています。

■ また、牛乳アレルギーの症状の改善に有効である可能性が指摘されています。
■ さらに、このミルクは、栄養的な問題点を解決する手助けもすることが期待されています。
■ この点に関しては、最近トルコの35の小児消化器・アレルギーセンターで行われた研究が参考になります。

※低アレルゲンミルクは、自己判断での開始は勧められません。医師と相談することをおすすめいたします。

Kansu A, Urganci N, Bukulmez A, Kutluk G, Gulcu Taskin D, Sahin Keskin L, et al. Growth, tolerance and safety outcomes with use of an extensively hydrolyzed casein-based formula in infants with cow's milk protein allergy. Front Pediatr 2023; 11:1230905.

1日の食事摂取量の半分以上を高度加水分解カゼインミルク(eHCF)で補った牛乳アレルギー(CMPA)の乳児226例(平均日齢106.5±39.5日、52.7%が女児)の身体計測データを、ベースライン時、来院時2回目(15±5日目)、来院時3回目(30±5日目)に記録し評価した。

目的

■ 牛乳蛋白アレルギー(CMPA)のある乳児において、高度加水分解カゼインベースミルク(eHCF)を使用した際の成長、耐性、安全性についての結果を評価する。

方法

■ 1日の食事摂取量の半分以上をeHCFが占めるCMPA乳児226例(平均年齢±SD:106.5±39.5日、52.7%が女児)を対象にした。
■ ベースライン時(来院時1)に身体計測データ[年齢に対する体重(WFA)、年齢に対する体長(LFA)、体長に対する体重(WFL)のzスコア]を記録し、来院時2回目(15±5日目)、来院時3回目(30±5日目)に乳児の摂食・排便記録、身体計測データ、乳児の摂食・排便パターン、粉ミルク満足度調査票のデータを記録した。

結果

■ ベースラインから2回目および3回目にかけて、WFAのzスコア(2回目では-0.60±1.13から-0.54±1.09へ、3回目では-0.44±1.05へ、p<0.001)およびWFLのzスコア(2回目では-0.80±1.30から-0.71±1.22へ、3回目では-0.64±1.13へ、p=0.002)が有意に増加した。

■ 少なくとも半数の乳児が、過敏性や摂食拒否(55.7%)、摂食後の吐き戻し(50.2%)を経験しなかった。

■ 大半の母親が試験用ミルクに満足(93.2%)、継続使用を希望(92.2%)した。

結論

■ eHCFは、CMPAを有する生後6ヶ月未満の乳児において良好に受け入れられ、忍容性があり、良好な胃腸忍容性および高い保護者満足度を示し、使用開始後30日以内に十分な量の消費と成長指標の改善させた。

 

※ 論文の背景とその解説・管理人の感想は、noteメンバーシップでまとめました。

 

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