Matsui EC, et al. Effect of an Integrated Pest Management Intervention on Asthma Symptoms Among Mouse-Sensitized Children and Adolescents With Asthma: A Randomized Clinical Trial. Jama 2017; 317:1027-36.
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■ 最近、ゴキブリ駆除が、喘息症状を改善するというランダム化比較試験をご紹介し、単回の介入でも喘息を改善させていました。
■ 今回は、最近のJAMAの報告で、ネズミ駆除に関する報告です。
E: ネズミに対する専門的介入+教育
C: 教育単独
O: ネズミ感作された児の喘息症状を改善するか?
結局、何を知りたい?
✅ネズミの徹底的な駆除が、喘息症状を改善させるかということを知ろうとしている。
結果
■ 総合的駆除管理は、殺鼠剤、ネズミの侵入ポイントとなる穴の封鎖、トラップ配置、清掃、アレルゲン・チェック済みのマットレスと枕ケース、ポータブル空気清浄剤の使用から成った。
■ ネズミの侵入は3ヵ月毎に評価され、侵入が残存するか、繰り返される場合、さらに処置が実施された。
■ 334人がプライマリ解析に含まれた。
■ ネズミ特異的IgE抗体価は、介入群の中央値 6.0kU/L(IQR 1.0~22.0kU/L)教育単独群9.0kU/L(IQR 1.0~26.0kU/L)だった。
■ また、ベッドルームの床のマウスアレルゲンレベルは介入群 2.0μg/gであり、教育単独群は2.5μg/gだった。
■ 介入群の63%、教育単独群の58%は、ベッドルーム床マウス・アレルゲンが少なくとも75%(P=.45)の減少、46%と41%は、少なくとも90%減少していた(P=.44)。
■ 最大の症状は、3種類の症状が最も高い日数(喘息による活動性低下日数、喘息症状での夜間覚醒、咳・喘鳴・呼吸困難感の日数)と定義された。
■ 6、9、12ヵ月時の前2週間以内における最大症状日数の中央値は、集中的な駆除介入群 2.0日(iqr 0.7-4.7)、教育単独による2.7日 (iqr 1.3-5.0)で有意差はなかった(P=. 16)。
■ 発症頻度も0.86(95%CI、0.69-1.06)であり有意差はなかった。
■ ネズミアレルゲンが50%減少するごとに、前2週間の短時間作用性β刺激剤使用が4%/日減少した-(頻度 0.96[95%CI、0.95-0.98]) P<.001)。
結局、何がわかった?
✅ネズミに感作された喘息児に対し、ネズミの徹底的な駆除と駆除教育を行ったが、駆除教育のみと喘息症状の改善に差はなかった。
コメント
■ ネズミ感作/曝露している喘息児に対し、駆除教育+一年間の集中的な駆除介入は、駆除教育のみに比較して有意な効果がなかったとまとめられます。
■ しかし、ネズミ抗原が減ると気管支拡張薬の減量されるようなので、環境整備に効果がないと言うわけではないようです。
■ やはり、最近の環境整備によるランダム化比較試験に関しても、有意差がでていません。
■ ただ、この報告は、ハウスダスト中のアレルゲン減少が軽微なので有意差がでていないとも考えられます。
■ 少なくとも環境整備に関しては、徹底的が必要と言えると思われますし、抗原の相手にもよるといえるのではないでしょうか。実際、抗原量が減った場合には気管支拡張薬の使用回数が有意に減っているようです。
■ 本邦では同じ結果にはならなさそうですが、ネズミがよく出没する環境なら考慮してよいでしょう。
今日のまとめ!
✅ネズミ駆除の徹底した介入+駆除教育は、駆除教育のみに比較しても、喘息症状を改善しなかった。