生後6ヶ月未満の乳児におけるインフルエンザ、入院するリスク因子は?

 予防接種に関するコクーン(繭玉)戦略とは、周囲が予防接種をして子ども達を守っていく戦略のことです。

■ コクーン戦略(Cocoon Strategy)とは、青木先生いわく、「繭玉をイメージ。子ども達をまもっていくために集団免疫を」です。

コクーン戦略(Cocoon Strategy)

※ 繭(まゆ;cocoon)とは、こんなの。昔、「◯年生の科学」に付録についていたような(写真は管理人ではないです)。

■ 集団免疫に関しては、以前、インフルエンザワクチンの集団接種に関する結果をご紹介いたしました。

 

 

Bustamante J, et al. Epidemiological factors related to hospitalization due to influenza in children below 6 months of age. European journal of pediatrics 2017; 176:1425-8.

生後6ヶ月未満の乳児122件のインフルエンザ入院に関し、リスク因子を検討した。

目的

■ この研究の目的は、6ヶ月未満の乳児のインフルエンザによる入院に関連する疫学的要因を調査することだった。

 

方法

■ スペインの三次病院において、症例対照試験が実施された。

■ 2010年10月から2015年3月にインフルエンザで入院した6カ月未満の乳児が集められた。

■ 対照は、非呼吸器疾患または非感染性疾患(尿路感染症が含まれる)によって入院した6ヶ月未満の健常乳児だった。

■ データは、医療記録および電話インタビューから後ろ向きに集められた。

 

結果

■ 計88人のインフルエンザ症例、計122件が対象となった。

■ 単変量解析では、母親の年齢(43.1±4.95 vs 32±5.3)、父親の年齢(37±6.4 vs 34.5±6.1)、兄弟(79 vs 24%)、4歳未満の兄弟(54 vs 15%)、祖父母に対するワクチン接種(18 vs 39%)(p <0.05)に有意差が認められた。

■ ロジスティック回帰後、リスクファクターは、兄弟姉妹(オッズ比 15.8 [95%信頼区間 3.15-79.5])、祖父母の予防接種(オッズ比 0.22 [95%信頼区間; 0.05-0.91])が、独立した防御因子であった。

■ 妊娠中のワクチン接種は非常に稀だった(3.5 vs 8.3%、p = 0.3)。

 

結論

■ 本研究は、生後6ヶ月以下の乳児のインフルエンザによる入院を防止するために乳児へ接触する家族のインフルエンザワクチンに対する免疫を強化させることの重要性を強調する。

 

結局、何がわかった?

 ✅生後6ヶ月未満の乳児がインフルエンザで入院するリスクは、兄弟姉妹がいることがリスクとして15.8倍に増加させ、祖父母の予防接種が0.22倍に減少させる。

 

 

コクーン戦略として、家族の予防接種は乳児のインフルエンザによる入院を減らすかもしれない。

■ 特に生後6ヶ月未満であると、本邦ではインフルエンザワクチンは接種できませんし、 集団免疫を、家族内ですることも一つの方法と言えましょう。

■ なお、乳児期のインフルエンザワクチンは有効ですので、6ヶ月以降になれば考慮すべきと思います。

 

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今日のまとめ!

 ✅生後6ヶ月未満の乳児がいる場合は、家族のインフルエンザワクチン接種も一つの方法として考慮できる。

 

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