Bao Y, et al. Risk Factors in Preschool Children for Predicting Asthma During the Preschool Age and the Early School Age: a Systematic Review and Meta-Analysis. Curr Allergy Asthma Rep 2017; 17:85.
気管支喘息の発症リスクに関し、多くの検討が行われてきました。
■ 気管支喘息の発症リスク因子に関して、このブログでも色々な結果をご紹介してきました。
より早期に、長期間湿疹が続いたほうが、その後の喘息の発症が多い?
過体重で出生し、その後の体重が重いと喘息発症リスクが高くなる
■ 今回は、小学校に入学後からの発症リスクに関してのメタアナリシスをご紹介したいと思います。
6歳以下の小児または学童期早期における持続性喘息発症のリスク因子を検討した17研究を検討した。
目的
■ 10歳以下での喘息発症リスクを予測するために、6歳未満における喘息の危険因子を特定する。
方法
■ 2017年6月30日までのMEDLINE、Cochrane、EMBASE、Google Scholarのプロスペクティブまたはレトロスペクティブコホートおよび症例対照研究を検索した。
■ この検討では、6歳以下の小児または学童期早期における持続性喘息発症のリスク因子または予測モデルを評価した。
結果
■ 計17研究が抽出された。
■ 10歳以下の小児(就学前と学童期早期の両方)の喘息発症に関連する因子として、男児(pooled OR = 1.70、P <0.001)、アトピー性皮膚炎(pooled OR = 2.02、P <0.001)、喘息の家族歴(pooled OR = 2.20、P <0.001)、血清IgE値 ≧60 kU / lまたは特異的IgE抗体価陽性(pooled OR = 2.36、P <0.001)が有意な関連があった。
■ 学童期早期の持続性喘息とは、受動喫煙歴や喘鳴既往が、有意に関連していた(pooled OR = 1.51、P = 0.030、pooled OR = 2.59、P <0.001)。
■ 総じて、喘息予測モデル(例えば、API、PIAMA、PAPS)は、感度は比較的低かった(21~71.4%)が、特異度は高かった(69~98%)。
まとめ
■ 喘息の発症には、男児、喫煙曝露、アトピー性皮膚炎、喘息の家族歴、喘鳴の病歴、血清IgE値が60 kU / l以上または特異的IgE抗体価陽性は、就学前期または学童期早期の喘息発症と有意に関連していた。
■ 喘息の発症予測モデルは、これらのリスク要因から開発することが可能である。
結局、何がわかった?
✅男児、喫煙曝露、アトピー性皮膚炎、喘息の家族歴、喘鳴の病歴、血清IgE値が60 kU / l以上または特異的IgE抗体価陽性は、就学前期または学童期早期の喘息発症と有意に関連した。
小学校入学後に喘息発症するリスクを予想できる指標になるかもしれない。
■ 一般に、小児喘息は小学校入学前までに発症している場合がほとんどです。たしかに、小学校入学後に発症する場合は、受動喫煙歴や、アトピー性皮膚炎のコントロールがついてないお子さんでの新規発症が多いような印象があります。
■ 特に、受動喫煙やアトピー性皮膚炎に対しては、治療介入できる点といえるでしょう。
今日のまとめ!
✅小学校入学後に喘息を新規発症するリスクとして、男児、受動喫煙、アトピー性皮膚炎、喘息の家族歴、喘鳴の病歴、感作が挙げられる。