ダニを通さない寝具は、小児喘息発作のリスクを減らす

ダニに対する環境整備が、喘息発作に有効かどうかは賛否両論です。

■ ダニを減らす環境整備介入が喘息発作を減らすかどうかは賛否両論で、以前は、治療薬を減らさないという研究結果をご紹介いたしました。

■ しかし、今回、大規模照介入ランダム化比較試験で、逆の結果が報告されました。

 

Murray CS, et al. Preventing severe asthma exacerbations in children. A randomized trial of mite-impermeable bedcovers. American journal of respiratory and critical care medicine 2017; 196(2): 150-8.

3~17歳のダニに感作された喘息児286人(平均年齢 7.7歳、男児 65.8%)を、ダニ不透過性寝具(介入群)または対照(プラセボ群)にランダム化し、1年間観察した。

理論

■ 感作された喘息児に対するアレルゲン曝露は、ウイルスと相互作用し喘息増悪のリスクを高める。

 

目的

■ 小児の重症喘息発作の増悪に対し、ダニ不透過性寝具の使用とその影響を評価する。

 

方法

■ 喘息増悪のために救急病院に受診後、喘息を持つ小児(3-17歳)をダニ不透過性寝具(介入群)または対照(プラセボ群)にランダム化した。

 

測定値と主な結果

■ 12ヶ月間の介入期間、重症の喘息増悪の発症が調査された。

■ 同意した喘息児434人のうち、286人(平均年齢 7.7歳、男児 65.8%)がダニに感作されており、284人がランダム化された(介入群146人、プラセボ群138人)

12ヵ月時点で、介入群はプラセボ群よりも喘息増悪が有意に少なかった(123人中36人 [29.3%] vs 118人中49人 [41.5%]; P = 0.047)

■ 多変量解析において、救急病院の受診リスクは、介入群はプラセボ群よりも45%低かった(ハザード比 0.55; 95%信頼区間 [CI] 0.36-0.85; P = 0.006)

増悪を伴う救急病院への年間受診率は、介入群はプラセボ群と比較して27%低かったが、有意差はなかった(推定周辺平均[95%CI]、介入群 0.38 [0.26-0.56] vs プラセボ群 0.52 [0.35-0.76]; P = 0.18)

■ 増悪時のプレドニゾロン使用のリスクは群間差は認めなかった(ハザード比0.82; 95%CI 0.58-1.17; P = 0.28)。

 

結論

■ ダニ不透過性寝具カバーは、ダニに感作されている喘息児の、プレドニゾロン内服回数は減らさないが、喘息増悪による病院受診を減らすのに有効である。

■ このシンプルな手段は、喘息増悪の医療負担を軽減する可能性がある。

 

結局、何がわかった?

 ダニに感作された喘息児286人(平均年齢 7.7歳)に関し、ダニ不透過性寝具を使用すると、

 ✅喘息増悪が有意に少なかった(123人中36人 [29.3%] vs 118人中49人 [41.5%]; P = 0.047)。

 ✅救急病院の受診リスクは、45%低下した(ハザード比 0.55; 95%信頼区間 [CI] 0.36-0.85; P = 0.006)。

 ✅増悪を伴う救急病院への年間受診率・増悪時のプレドニゾロン使用のリスクは、群間に有意差なし。

 

ダニ不透過性カバー(高密度繊維カバー)は、良いというデータと差が無いというデータがある。

■ 今回の報告では、ダニ不透過性カバーは、小児喘息に有効という結果でした。

■ 私は、全員に必要とは思っていません。低年齢からダニ感作が進んでいる、ダニに強く感作されており薬物減量が難しい and/or 喘息発作回数が多い場合は適応になると思っています。ただ、高価です。よく考えてから購入すべきでしょう、、、少なくとも、高価なものを最初から勧めないように心がけています。

今日のまとめ!

 ✅ダニに感作されている小児に対し、ダニ不透過性カバーは、発作回数や救急受診を減らすかもしれない。

 

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