小児期早期の抗生剤使用は喘息発症リスクを上げるかもしれない:メタアナリシス

Ahmadizar F, et al. Early life antibiotic use and the risk of asthma and asthma exacerbations in children. Pediatr Allergy Immunol. 2017.[Epub ahead of print]

抗生剤使用とアレルギー発症。

■ 抗生剤使用とアレルギー性疾患発症に関しては、いくつかの報告をご紹介してきました。

妊娠中の抗生剤使用は、児のアトピー性皮膚炎の発症リスクを上げる?

1歳までの抗生剤使用は食物アレルギー発症を増やすかもしれない: 症例対照研究

乳児期の抗生剤投与はその後のアトピー性皮膚炎発症リスクになる: システマティックレビュー

■ それらは、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーのリスクを上げるというものでした。

■ では、喘息はどうでしょうか?

 

PECO
P: 喘息発症リスクを評価した2つのpopulation-basedコホートであるGeneration R(n=7393、オランダ)・SEATON(n=891、スコットランド、英国)と、喘息増悪リスクを評価した2つの喘息コホートであるPACMAN(n=668、オランダ)とBREATHE(n=806、スコットランド、英国)
E: 早期の抗生剤使用
C: -
O: 喘息の発症・増悪に関与するか

 

結局、何を知りたい?

 ✅小児期早期の抗生剤使用が、その後の喘息発症や増悪リスクをあげるかどうかということを知ろうとしている。

 

 

コホート試験から、抗生剤使用が発症や増悪に関係するかを探索。

■ 抗生剤投与歴に関して、Generation Rは3歳までの保護者の報告、SEATONは生後6ヶ月まで保護者の報告から得られた。PACMANとBREATHEは英国国民医薬品コードから投与期間を算出された(不明な場合は7日間と仮定)。

■ データは、(i)-(iv)が評価された。

(i) 曝露あり vs 曝露なし(全4つのデータ)

(ii) 抗生使用の最初のタイミング:1歳、2歳、3歳(Generation R、PACMAN、BREATHE)

(iii) 3歳までの抗生物質処方回数(PACMANとBREATHE)

(iv) 3歳までの抗生剤投与日数(PACMANとBREATHE)

■ Generation RとSEATONからのメタアナリシスにおいて、小児期早期の抗生剤使用は、喘息の発症リスク増加を伴った(OR:2.18、95%CI:1.04-4.60; I2:76.3%)。

■ PACMANとBREATHEからのメタアナリシスにおいて、小児期早期の抗生剤使用は、その後の喘息増悪のリスクに関連しなかった(OR:0.93、95%CI:0.65-1.32; I2:0.0%)。

 

結局、何がわかった?

 ✅小児期早期の抗生剤使用は、喘息発症リスクを2.18倍にするが、増悪リスクは増加させなかった。

 

 

小児期の早期に抗生剤を使用すると喘息発症リスクがあがる。

■ 3歳までの抗生剤治療を受けた小児は喘息発症リスクが増加するが、抗生物質曝露は喘息増悪のリスク増加を伴うというエビデンスはないとまとめられます。

■ これは、微生物菌叢の撹乱に伴うものと考えられます。

微生物群は喘息予防の切り札になるかもしれない: レビュー

■ そして、微生物の多く晒される環境の方が喘息は少なくなることが報告されています。

伝統的農法をしている環境の方が、新しい農法をしている環境より気管支喘息が少なくなる: 症例対照研究

■ しかし、一方で昔の生活がいいかというとそうばかりは言えません。実際、上の報告で紹介されたアーミッシュの方々を狙ったかのように麻疹が集団発生したという報告もあります。

アーミッシュ内での麻疹アウトブレイク

■ また、RSウイルス細気管支炎時にジスロマック投与で喘息発症を減らすといった相反する(かな?)報告もあります。

RSウイルス細気管支炎後、ジスロマックの2週間内服でその後の喘鳴を予防できる: ランダム化比較試験

■ 結局、不要な抗生剤使用は減らすべき、という結論になりそうですね。

 

 

今日のまとめ!

 ✅小児期早期の抗生剤使用は、喘息発症リスクをあげる。

 

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