Samady W, et al. Food-induced Anaphylaxis in Infants and Children. Annals of allergy, asthma & immunology 2018. [Epub ahead of print]
食物アレルギーは高年齢になるほど経口免疫寛容を誘導するのは難しくなるかもしれない。
たとえば、微量のピーナッツを1年間食べ続けるという方法でも、3割が食べられるようになるという報告があるよ。
なぜなら、アレルゲンを摂取することはリスクが伴うし、どれくらいの量を、どれくらいの間隔で、いつまで続けるのかも十分判明していないからね。
そういった背景を考えても、食物アレルギーにおけるアナフィラキシーは年齢が重篤な印象があったけど、そのテーマでの報告があったので紹介しよう。
食物依存性アナフィラキシーのために受診した357人に関し、年齢群ごとの症状を比較した。
背景
■ ピーナッツアレルギー予防のためにピーナッツ製品を乳児に摂取開始させるという最近の推奨では、乳児のアナフィラキシーの重点的な評価が必要である。
目的
■ この研究では、12ヶ月未満の乳児における食物依存性アナフィラキシー(food-induced anaphylaxis; FIA)の症状は、小児のさらに高年齢の集団と比較し説明した。
方法
■ 2015年6月~2017年6月に、大都市における小児病院救急部( emergency department ; ED)にFIAで受診した児を後ろ向きにレビューした。
結果
■ 乳児期(12ヵ月未満)で47人、幼児期(12〜24ヵ月)で43人、幼児期(2〜6歳)で96人、就学児期(> 6歳)で171人、計357人が食物依存性アナフィラキシー(FIA)のために受診した。
■ 乳児は、他のどの年齢群よりも頻繁に胃腸症状(gastrointestinal; GI)を呈した(89% vs 63% [P = .003]、60% [P <.001]、58% [P <.001])。
■ 乳児および幼児は、就学児よりも頻繁に皮膚病変を呈した(94%と91%対62%[P <.001])。
■ 呼吸器症状は、年長児群でより一般的だった(乳児では17%、幼児では44% [P <.001]、就学児では54% [P <.001])。
■ 乳児でのFIAの原因は卵と牛乳がより一般的だった(卵、38% vs 1%、牛乳、17% vs 7% [P = .03])。
■ FIAの乳児のうち21%のみが湿疹に罹患しており、食物アレルギーの病歴は36%だった。
結論
■ 乳児の食物依存性アナフィラキシー(FIA)は、主に胃腸症状(GI)および皮膚症状を呈した。
■ 卵は乳児における最も一般的な原因食物だった。
■ 大部分の乳児FIAは、湿疹や食物アレルギーの病歴を有していなかった。
結局、何がわかった?
食物によるアナフィラキシーで受診した児に関し、乳児(12ヵ月未満)、幼児期(12〜24ヵ月)、幼児期(2〜6歳)、就学児期(> 6歳)の4群にわけて症状を比較すると、
✅乳児は、胃腸症状が多く(89% vs 63% [P = .003]、60% [P <.001]、58% [P <.001])、乳児と幼児は、就学児よりも皮膚症状が多く(94%と91%対62%[P <.001])、 呼吸器症状は、年長児群が多かった(乳児では17%、幼児では44% [P <.001]、就学児では54% [P <.001])。
就学児での食物によるアナフィラキシー
■ 就学時まで食物アレルギーをチャリーオーバーする群がもともと重症群である可能性も高いですが、就学時以降のほうが強いアナフィラキシー症状を呈することが多いと言えましょう。
■ もちろん、かといって、乳幼児期に不用意に卵や乳を開始することが危険であること、STARスタディなどでわかっていますから、注意が必要であることは確かです。
■ なお、乳児期のアトピー性皮膚炎は、食物アレルギーの強いリスクファクターではあるものの、すでに湿疹は改善後にアナフィラキシーを発症するパターンも多いですので、アナフィラキシー時点では湿疹が少なかったのではないかとは思われます。
今日のまとめ!
✅乳幼児期より、就学時のほうが、食物によるアナフィラキシー症状は強く出現するようだ。