舌下免疫療法が、本邦でも小児に使用できるようになってきましたが、基本的にはターゲットはアレルギー性鼻炎です。では気管支喘息には有効でしょうか?
舌下免疫の適応がおりてすぐ資格はとったんだけど、なかなか製剤がはいらなくてさ、、(ぶつぶつ)
免疫療法は、鼻炎だけでなく喘息にも有用かもしれないというランダム化比較試験やメタアナリシスを紹介してきたよね。
今回は、その紹介です。
Rice JL, et al. Allergen-Specific Immunotherapy in the Treatment of Pediatric Asthma: A Systematic Review. Pediatrics 2018: e20173833.
小児喘息に対する、皮下免疫療法・舌下免疫療法の有効性と安全性を確認したランダム化比較試験・非ランダム化比較試験のメタアナリシスを実施した。
背景
■ アレルギー性喘息の治療には、アレルゲン回避、薬物療法、アレルゲン免疫療法がある。
目的
■ 小児アレルギー性喘息における皮下免疫療法(subcutaneous immunotherapy; SCIT)および舌下免疫療法(sublingual immunotherapy; SLIT)の有効性および安全性に関する現在のエビデンスを要約および更新する。
データソース
■ 2005年1月1日~2017年5月8日までのPubMed、Embase、Controlled Trialsと、ClinicalTrials.gov、米国食品医薬品局(FDA)の有害事象報告システムを使用し、2013年のシステマティックレビューに利用された試験を再評価した。
研究の選択
■ 研究者が事前に定めたアウトカムについて報告し、吸入アレルゲンによるSCITまたはSLITを受けた介入群のある、18歳以下の小児を対象とした研究を含めた。
■ 有効性評価に対し、ランダム化比較試験(randomized controlled trials; RCT)のみが含まれた。
■ 安全のアウトカム評価のために、RCTと非RCTを含めた。
データ選択
■ 2人の研究者がデータを抽出した。
■ 40研究(SCIT試験17件、SLIT試験11件、SCITの安全性8件、SLITの安全性4件)を含んだ。
結果
■ 皮下免疫療法(SCIT)が長期的な喘息管理薬の使用を減らすという中程度のエビデンスが見つかった。
■ SCITが喘息関連のQOLを向上させ、呼気1秒量を改善するという弱いエビデンスを見つかった。
■ 舌下免疫療法(SLIT)が薬剤の使用と強制呼気1秒量を改善するという弱いエビデンスもあった。
■ 喘息症状やヘルスケア施設の使用に対するエビデンスは不十分だった。
Limitation
■ 妥当性の確認されたツールを使用して喘息症状を評価した研究はなかった。
■ 試験の特徴および結果は異質性があった。
結論
■ アレルギー性喘息の小児では、皮下免疫療法(SCIT)は長期的な喘息薬の使用を減らす可能性がある。
■ 局所および全身性アレルギー反応はよくみられるが、アナフィラキシーはほとんど報告されなかった。
結局、何がわかった?
小児アレルギー性喘息に対し、
✅ 皮下免疫療法が長期的な喘息管理薬の使用を減らす(中程度のエビデンス)。
✅ 皮下免疫療法は喘息関連のQOLを向上させ、呼気1秒量を改善する(弱いエビデンス)。
✅ 舌下免疫療法が薬剤の使用と強制呼気1秒量を改善する(弱いエビデンス)。
小児アレルギー性喘息に対し、皮下免疫療法の有効性はありそうだが、舌下免疫療法はやや弱いようだ。
■ もともと舌下免疫療法より皮下免疫療法の方が、治療の効果が高いという報告が多いので、喘息の治療効果に関してもその面がでているように思われます。
■ とはいえ、大規模ランダム化比較試験では、吸入ステロイド薬で十分改善しないダニアレルギーのある成人ぜん息において、ダニ舌下免疫療法は6か月後の中等症以上の喘息発作を9-10%減少させ、中等症以上の喘息増悪を改善させる効果があるという結果でした。
■ 舌下免疫療法に関して、過大な期待はできないかもしれませんが、鼻炎にくわえて喘息の改善も得られればより嬉しいなあと思います。
今日のまとめ!
✅小児アレルギー性喘息の治療に対し、皮下免疫療法は有効性が高そうだが舌下免疫療法はやや弱いようだ。