アトピー性皮膚炎において、入浴方法を聞かれることは多いが、そのデータは限られています。その検討結果を示した報告。
また入浴習慣とアトピーの関連の論文?
このあたりは、専門医でも意見がわかれる点だからね。興味深い論文を見つけるとつい読んじゃうんだ。
以前、何かでかいたことがあると思うんだけど、洗浄に関しては、それぞれに対応が異なるはずなんだ。
だからこそ、そのお子さん毎に必要かどうか見極める必要があると思う。
現実的にはトライ&エラーは必要だろうけど、個人的には、自分の患者さんは洗った方がうまくいくお子さんが多いことは確かだ。
でもそれは、僕がどちらかというと重症の患者さんを中心にみているからだろうと考えている。だから、「洗うのが正しい」と一方的に考えてもいないんだ。
それはさておき、今回の報告もみてみよう。
Koutroulis I, et al. The Association Between Bathing Habits and Severity of Atopic Dermatitis in Children. Clin Pediatr (Phila) 2016; 55:176-81.
小児アトピー性皮膚炎と入浴習慣を検討した。
背景
■ アトピー性皮膚炎は、しばしば子どもに発症する炎症性皮膚疾患である。
■ ライフスタイルの変更に使われる、治療管理に対する現在の推奨は非常に多様となっており、患者において混乱や不確実性を招いている。
目的
■ 現在の入浴行動やその後の疾患の重症度への影響を決定する。
方法
■ これは都市部の小児救急部で行われた観察的な横断研究である。
■ 親は患児の入浴習慣に関するアンケートに記入するように指示された。
■ 結果は、SCORAD(SCORing Atopic Dermatitis)によって決定された、アトピー性皮膚炎の重症度と相関していた。
結果
■ 入浴頻度、入浴時間、保湿剤の使用に対し、差が有意であることが明らかとなった。
■ さらに、多変量解析では、アトピー性皮膚炎の重症度は2歳以上(P = .0004)、より長い入浴期間(P = 0.001)で増加することが示された。
結論
■ アトピー性皮膚炎の重症度は、より長い入浴期間と関連する可能性がある。
■ 入浴頻度は、アトピー性皮膚炎の重症度に影響しないようである。
結局、何がわかった?
✅入浴習慣において、より長い入浴期間(P = 0.001)でアトピー性皮膚炎が悪化する可能性が示された。
入浴とアトピー性皮膚炎の関連に関し、画一的に結果をもとめるのは難しいが、入浴時間が悪化原因のひとつかもしれないという結果だった。
■ 抄録しか手に入らなかったので、詳細は不明でしたが、入浴時間が影響することがわかりました。
■ 以前、アトピー性皮膚炎の入浴や洗浄に関しては、いくつかの報告をご紹介してきましたが、セッティングにより意見がかわってくることも提示しました。
■ 結局は、入浴が必要なアトピー性皮膚炎が3割程度、と言うメタアナリシスがいいところをついているような気がします。
■ アトピー性皮膚炎のスキンケアはなかなか画一的には出来ないのではないか、というのが私の結論です。
今日のまとめ!
✅入浴時間が長いと、アトピー性皮膚炎が悪化しやすいかもしれない。