食品表示義務があっても、その食品に含まれたアレルゲンで症状が出る場合があります。
アレルゲンが含まれている食品って、表示義務があるから安心だよね?
でも、注意点もあるよ。
必ず表示しなければならないのは7項目にすぎないし、食品1gあたり数μg以上含まれている食品への義務はあるけど、それ以下だと表示されないし。スーパーの対面販売も表示義務がないしね。
実際に表示されるアレルギー物質とはどのようなものでしょうか。
現在、表示されているアレルギー物質には、必ず表示されるもの7品目と表示が勧められているもの20品目があります。特に必ず表示されるものを「特定原材料」といい、患者の方の数が多い乳、卵、小麦、えび、かにと、重篤な症状に至ることが多いそばと落花生の7品目が指定されています。
また、表示が推奨されている20品目は「特定原材料に準ずるもの」といい、「可能な限り表示をするよう努めること」とされています。
気をつけておいてもいいかもしれないから、読んでおこうか。
Blom WM, et al. Accidental food allergy reactions: Products and undeclared ingredients. J Allergy Clin Immunol 2018; 142:865-75.
成人食物アレルギー患者157人において1年間に73人が偶発的な症状があり、回収された51製品に関するアレルゲン成分分析を実施した。
背景
■ 偶発的な食物アレルギー反応は頻繁に起こり、重度で致死的でさえある。
目的
■ 偶発的な反応における対象となる食物製品と予想外のアレルゲンレベルを解析することを目的とする。
方法
■ 医師が診断した食物アレルギーの成人157人において、前向きコホート研究を行った。
■ 1年間のフォローアップ期間中、73人が偶発的なアレルギー反応と疑われる食品を報告した。
■ うけとった 51製品に関し広範囲に疑わしいアレルゲン成分を分析し、リスクを定量化した。
結果
■ 予想外におこったアレルギー反応の原因は非常に多様な食品にわたった。
■ 分析された製品の37%(51製品中19製品)には、成分表示に従うと存在しないとされた1〜4種類のアレルゲンが同定された。
■ 濃度は、食品1kgあたりのアレルギー食物タンパク質が1〜5000mgの範囲であり、ピーナッツ、ミルク、ゴマが最も多かった。
■ 牛乳タンパク質は、客観的なアレルギー反応の推定リスクが最も高かった。
■ 疑わしいアレルゲンの摂取量は、患者に毎にかなり異なっていた。
■ 疑わしいアレルゲンが検出された場合、少なくとも1種類のアレルゲンの摂取量が基準量を超えたか、未知の基準量の疑わしいアレルゲンが存在した。
■ 予防的なアレルゲンの表示に対し患者が軽視していることと、食品メーカーによる予防的なアレルゲン表示の省略の両方が、偶然の反応に寄与していると考えられた。
結論
■ 食物アレルギー患者では、幅広い食品が偶然の反応を引き起こしている。
■ 成分リストで表示されていない8種類のアレルゲンが、EUで規制されているアレルゲンである原因食品で検出された。
結局、何がわかった?
✅157人の食物アレルギーの成人に1年間に起こった偶発的な食物アレルギー反応から、51製品を回収して調査したところ、分析された製品の37%(51製品中19製品)には、成分表示に従うと存在しないとされた1〜4種類のアレルゲンが同定された。
✅ 濃度は、食品1kgあたりのアレルギー食物タンパク質が1〜5000mgの範囲であり、ピーナッツ、ミルク、ゴマが最も多かった。
✅ 牛乳の推定リスクが最も高かった。
オランダですら、食物アレルギーの表示義務から漏れてしまう食品の混入がありうる。
■ 思った以上に多いという印象ですが、食品1gあたり最大5mg(=5000μg)混入していたということになります。
■ 実際に、除去食中の誤食は頻繁に起こっており、治療も不十分であるという報告もあります。
■ 本邦の一流メーカーでの問題はそれほど多くはないと思いますが(そう信じたい、、)、特に海外に行くときは気をつけたほうがいいのかもしれませんね。
今日のまとめ!
✅EUにおいてでも、食物に混入したアレルゲンで偶発的な症状が起こっており、ピーナッツ、ミルク、ゴマが最も多く、リスクは乳が最も高かった。