
喘息治療に関し、コントローラー治療が不十分な場合、次にどのような治療をおこなうか?
■ 喘息治療に関し、ある治療法でうまくいかない場合に次の治療をどうするかは難しい問題です。
■ 以前ご紹介した報告では。LABAの追加が有用とする結果でした。
■ 今回は少し古い報告ですが、吸入ステロイド薬とロイコトリエン拮抗薬のどちらがより有用かという報告です。
Zeiger RS, et al. Response profiles to fluticasone and montelukast in mild-to-moderate persistent childhood asthma. J Allergy Clin Immunol 2006; 117:45-52.
プロピオン酸フルチカゾン(フルタイド)もしくはモンテルカスト(シングレア)を使用している6〜17歳の小児に関し、クロスオーバー試験でどちらが有用かを検討した。
背景
■ 学童期の小児におけるコントローラー喘息薬の使用の転帰は、推奨のために必要である。
目的
■ 我々は、吸入コルチコステロイド(inhaled corticosteroid; ICS)およびロイコトリエン受容体拮抗薬(leukotriene receptor antagonist;LTRA)に対する反応性の個体間および個人間による予測の可能性や反応プロファイルを決定しようとした。
方法
■ 気管支拡張薬を必要時に使用している軽症から中等症の持続性喘息であり、ICS、すなわちプロピオン酸フルチカゾン(100μg×1日2回)を使用もしくはLTRA(1日5〜10mg夜のみ[年齢に依存])を使用している6〜17歳の小児に対し、ダブルブラインドブラインド・2シークエンス・16週間のクロスオーバー試験を実施した。
■ これらのコントローラーに対する臨床的、呼吸器、炎症に対する反応を評価した。
結果
■ 臨床喘息管理尺度の改善は、両方のコントローラーで生じた。
■ しかし、臨床転帰(喘息コントロール日数 [asthma control days;ACD]、喘息コントロール質問表、アルブテロール使用)、肺機能(FEV /努力性肺活量、ピークフローの変動制、朝のピークフロー、インピーダンス測定値)、炎症性バイオマーカー(呼気中一酸化窒素[eNO])は、モンテルカスト治療群よりもフルチカゾン治療群で有意に改善した。
論文より引用。
論文より引用。
■ eNOは両方ともACD(喘息コントロール日数)の予測因子だった。
結論
■ LTRAよりもICSが、臨床的、肺機能、炎症への反応性がより良好な反応であり、小児における軽症から中等症の持続性喘息に対する第1選択治療としてICSを支持するエビデンスを提供する。
■ 反応性の予測因子としてのeNOは、LTRAと比較してICSを使用した場合のACDがより大きな改善を達成するため、コントローラーの使用していない児を同定するのに役立つかもしれない。
結局、何がわかった?
✅6~17歳の気管支喘息において、LTRAよりもICSが、臨床的、肺機能、炎症への反応性がより良好な反応を示した。
吸入ステロイド薬のほうが有用だったという報告だが、、
■ この報告は吸入ステロイド薬(ICS)がより有用としていましたが、ICSもたとえば、僅かな身長抑制の可能性といったデメリットがあります。
■ ICSのほうがより喘息のコントロールがよくなるとはいえ、よく考えながら選択することにはかわりがなさそうです。
今日のまとめ!
✅6~17歳の喘息児に対し、吸入ステロイド薬(ICS)と抗ロイコトリエン薬ではICSのほうが有効性が高いという結果だったが、その選択に断定的に決めるものではない。